
施主支給
Owner-Supplied Materials
施主支給とは
施主支給とは、発注者(施主)が工事に使う材料・設備・器具などを自ら購入または手配し、施工者に支給して取り付けや施工だけを請け負わせる方式です。「支給材」「甲供」とも呼ばれます。照明器具、衛生機器、建具、仕上げ材などで行われることが多く、コスト削減や、こだわりの製品を使いたいという施主の意向から採用されます。
施工者側から見ると、材料費分が請負金額から外れ、材料費や原価管理の範囲が変わります。一方で、品質や納期の責任の線引きが曖昧になりやすく、トラブルの原因にもなります。
責任分担の考え方
民法には、注文者が供した材料の性質または注文者の指図によって生じた不適合については、請負人は原則として担保責任を負わない旨の規定があります。ただし、請負人がその材料や指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは責任を免れません。つまり、支給された材料に問題がありそうなときは、気づいた時点で書面等で速やかに発注者へ伝えることが重要です。
この点は契約不適合責任とも関わります。契約書や見積書の段階で、次の事項を明確にしておくと安心です。
- 支給品の品名・数量・仕様・納入期日と納入場所
- 受け入れ検査の方法と、不具合があった場合の対応(交換・返品の費用負担)
- 現場での保管責任、盗難・破損時の扱い
- 取り付け後の不具合の責任範囲(製品起因か施工起因か)
鉄骨・仮設工事での実務ポイント
鉄骨工事では、アンカーボルトや高力ボルト、デッキプレートなどを施主や元請が支給する場合があります。その際は、ミルシートなどの証明書類、数量、寸法を材料受け入れ検査で確認し、記録を残します。納入が遅れれば工程管理に直接響くため、納期を工程表に反映し、遅延時の取り扱いを事前に取り決めます。
また、支給材をクレーンなどで揚重する場合は、建設ロジスティクス管理の観点から荷捌き・仮置き場所と時間も調整が必要です。
トラブルを避けるための書面化
施主支給で多い問題は、「寸法が合わない」「納期が遅れた」「破損していた」といった場面で、誰の責任かが決まっていないことです。口頭の了解だけで進めず、支給品リストと受け入れ時の確認記録(写真・数量・外観・員数)を残しましょう。
また、支給品の分だけ施工者の管理責任が軽くなるとは限りません。保管中に傷んだ場合、現場で預かっている以上は施工者の管理が問われるのが通常です。保管方法(雨掛かり防止、地面への直置き防止など)も合意しておき、施工管理日誌に受け入れ状況を記載する運用が有効です。価格面でも、支給により生じる取り付け手間や一般管理費の扱いを見積りで整理しておくと、後の精算がスムーズです。
柴田工業の現場から
支給材は安くなる反面、納期遅れや寸法違いが出ると工程に直撃します。受け入れ時に写真と数量を必ず残し、気になる点はその日のうちに伝えるようにしています。