原価管理に関する建設現場イメージ
COST

原価管理

Cost Management

管理の4本柱
げんかかんり

原価管理とは

原価管理とは、建設工事にかかるすべてのコストを計画・追跡・分析し、予算内で工事を完了させるための管理手法です。施工管理における「4本柱」(品質管理工程管理安全管理・原価管理)の一つであり、工事の利益を確保するうえで最も直接的に経営に影響を与える管理項目です。

建設業は受注産業であり、工事の利益は「契約金額 - 実際の原価」で決まります。つまり、いくら大きな工事を受注しても、原価管理が甘ければ赤字になりかねません。逆に、小規模な工事でも原価を適切に管理すれば安定した利益を確保できます。ゼネコンの現場でも専門工事会社の現場でも、原価管理は「会社を守る盾」であり、同時に「利益を生み出す武器」でもあるのです。

現場の施工管理者にとって、原価管理は日々の業務と密接に結びついています。材料の発注量、協力会社への発注金額、重機のレンタル日数など、現場で下すあらゆる判断がコストに直結します。数字に強いだけでなく、現場の実態を把握し、品質と安全を維持しながらコストを最適化するバランス感覚が求められます。

原価の内訳

建設工事の原価は、大きく3つの要素に分類されます。まず材料費は、鉄骨・コンクリート・木材・金物・塗料など、工事に使用するすべての資材にかかる費用です。鉄骨工事では鋼材費が材料費の大半を占めることもあり、建設業では材料費が全体原価の40〜50%を占めることも珍しくなく、材料の調達価格や使用量の管理が利益に大きく影響します。

次に労務費です。これは工事に従事する職人や作業員に支払う人件費のことで、自社の社員だけでなく、協力会社(下請け)に支払う外注費も含まれます。労務費は工事全体の30〜40%程度を占め、特に人手不足が深刻な昨今の建設業界では、労務費の高騰が大きな経営課題となっています。

3つ目は機械費(経費)です。クレーンや重機のレンタル料、仮設資材のリース料、電気・水道などの現場経費、さらには現場事務所の維持費なども含まれます。機械費は工事規模や工法によって大きく変動するため、工事着手前の正確な見積りと、施工中の効率的な運用が重要です。

コスト削減と品質の両立

原価管理の本質は、単にコストを削ることではありません。品質を維持しながら無駄を省くことにあります。品質を犠牲にしたコスト削減は、手直し工事の発生やクレーム対応で結果的に余計なコストがかかり、何よりも会社の信用を失うことになります。

実務では、実行予算(工事開始前に作成する詳細な予算)と実績原価(実際に発生したコスト)を定期的に比較する差異分析が行われます。予算をオーバーしている項目を早期に発見し、原因を特定して是正措置を講じることで、工事全体の収益性を確保します。

例えば、材料のロス率を下げるために加工図の精度を上げる、工程の見直しで重機の使用日数を短縮する、複数の協力会社から相見積りを取って適正価格を把握するなど、品質と安全を損なわない範囲での工夫が日々行われています。優れた原価管理者は、現場を熟知しているからこそ「どこに無駄があるか」を見抜くことができるのです。

鉄鋼価格の変動と原価管理の実際

建設業の原価管理において最もインパクトが大きいのが、鉄鋼価格の変動です。鉄骨造の建築工事では、鋼材費が材料費全体の大部分を占めることがあり、鉄鋼市況の変動が工事の損益を大きく左右します。例えば、受注時に1トンあたり10万円だった鋼材が、施工時には12万円に値上がりしていた場合、1,000トン規模の工事では2,000万円もの予算超過が発生することになります。

経験豊富な原価管理者は、こうした価格変動リスクに対して複数の対策を講じます。鋼材メーカーとの長期契約による価格固定、複数の仕入先との交渉による競争見積り、材料の先行手配による価格確定などが代表的な手法です。また、設計段階から鋼材の規格を統一して発注ロットを大きくすることで、ボリュームディスカウントを引き出す交渉力も重要です。

さらに見落とされがちなのが、工程管理の遅れとコスト超過の関係です。工程が1週間遅れれば、その分だけ仮設資材のリース料、現場事務所の維持費、作業員の待機費用などが積み重なります。「1日の遅れは○万円のコスト増」と具体的な数字で把握することが、工程管理と原価管理を連動させるカギとなります。優れた施工管理者は、工程表とコスト管理表を常に両方見ながら現場を運営しています。

3大原価
材料費・労務費・機械費
目標
予算内完工
スキル
交渉力・分析力

柴田工業の現場から

上沢直二
上沢 直二 事務・現場兼務

原価管理は、自分の事務・管理畑の経験が最も活きる分野です。大成建設のようなスーパーゼネコンの現場では予算規模は大きいですが、その分システムがしっかり整備されています。日々スプレッドシートやコスト管理ツールを使って数字を追っています。事務と現場の兼務だからこそ、数字の裏にある現場の実態が見える。それがより良い判断につながっていると感じます。

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