
設計基準強度
Design Standard Strength of Concrete (Fc)
設計基準強度とは
設計基準強度(Fc:design standard strength)は、構造設計において、コンクリートの圧縮強度の基準として定める値です。単位はN/mm²で、「Fc24」のように表します。構造計算で許容応力度や終局耐力を求める際の基礎となるため、設計図書(特記仕様書や構造図)に、使用部位ごとに記載されています。
ここで注意したいのは、設計基準強度は「設計者が構造物に期待する強度の基準」であり、生コン工場に発注する強度そのものではないという点です。発注する強度(呼び強度)は、設計基準強度に、施工時の温度による強度の違いや製造のばらつきなどの補正を加えて決まります。
設計基準強度から呼び強度が決まるまで
日本建築学会の建築工事標準仕様書・同解説 JASS 5(鉄筋コンクリート工事)では、強度に関する用語が段階的に整理されています。
- 設計基準強度(Fc):構造設計上の基準となる強度。
- 耐久設計基準強度(Fd):構造体・部材の計画供用期間に応じた耐久性を確保するための基準強度。短期・標準・長期・超長期の区分ごとに値が示されています。
- 品質基準強度(Fq):設計基準強度と耐久設計基準強度のうち大きい方の値。
- 調合管理強度(Fm):品質基準強度に、構造体強度補正値(打込みから材齢28日までの期間の温度による強度補正)を加えた値。
- 調合強度(F):調合管理強度に、製造のばらつきを考慮して割増した強度。
発注では、これらを踏まえたレディーミクストコンクリートの呼び強度を指定します。つまり、同じFc24でも、季節や地域の気温、計画供用期間によって、実際に発注する呼び強度が変わることがあります。なお、数値や用語の細かな扱いはJASS 5の版により異なるため、現場では特記仕様書で指定された版・内容を確認してください。
現場での確認と品質管理
施工者は、受入れ時と打込み後の二段階で強度を確認します。受入れ時は、生コンの納入伝票で呼び強度・スランプ・粗骨材最大寸法・セメントの種類が発注内容と合っているかを確認し、フレッシュコンクリートの試験(スランプ試験、空気量、塩化物量、温度など)を行います。あわせて、圧縮強度試験用の供試体を採取します。
強度の確認は、標準養生した供試体の圧縮強度試験の結果で行います。構造体コンクリートの強度は、現場で養生された供試体や、型枠の取外し時期の判断のための試験結果を用いて、別に確認する場合があります。こうした全体の流れはコンクリート強度確認とコンクリート材齢管理に関わります。
設計基準強度が出ない場合(試験結果が基準を下回る場合)は、構造体の強度を確認するため、コア採取による強度試験などの検討が必要になります。そのような事態を避けるには、施工段階での養生や締固めの管理が重要です。
鉄骨工事との関わり
鉄骨工事では、柱脚の根巻きコンクリート、基礎、デッキスラブ上のコンクリートなど、鉄骨に取り合うコンクリートが多数あります。アンカーボルトの引抜き耐力やベースプレート下のモルタルの支持力は、コンクリートの強度を前提にしています。基礎の設計基準強度が確認できていない段階で建方を進めないよう、建方前の強度確認を工程に組み込みます。
「Fc」を現場でどう読むか:図面の強度と発注強度のずれに注意
設計図書に「Fc=24N/mm²」とあるとき、そのまま呼び強度24で発注すればよいとは限りません。JASS 5に基づく場合、耐久設計基準強度との比較、構造体強度補正値の加算といった手順を経て、呼び強度が決まります。冬期に打設する場合は、気温が低く強度の発現が遅れるため、補正値が大きくなる傾向があります。この補正は、生コン工場やゼネコンの品質管理担当が行うのが一般的ですが、鉄骨側の施工者も、自分の担当部位のFcが何か、その部位の発注強度がいくつになっているかを把握しておくと、打設後の確認がスムーズになります。
また、部位によってFcが異なる点にも注意が必要です。たとえば、下階の柱は高強度、上階の梁・スラブは標準強度、といった使い分けがよくあります。打設計画で強度の異なるコンクリートが混在する場合は、打ち分けの範囲と順序を事前に整理し、納入伝票と照合する手順を決めておきます。誤った強度のコンクリートが打ち込まれると、取り返しがつきません。コンクリート大量打設管理とあわせて、打設前の確認項目に入れておきましょう。
柴田工業の現場から
図面のFcと生コン伝票の呼び強度が違っていて最初は戸惑いましたが、補正があるからだと教わって納得しました。伝票は必ず図面と並べて見るようにしています。