
溝形鋼
Channel Steel (C-Channel)
溝形鋼とは
溝形鋼は、断面が「コ」の字形をした形鋼で、英語ではチャンネル(channel steel)と呼ばれます。ウェブ(背の部分)の両端にフランジが同じ向きに出ており、寸法や許容差はJIS G 3192に規定されています。現場では、チャンネルや「ミゾ」と略して呼ばれることもあります。
図面上は記号「[」を使い、「[-高さ×幅×ウェブ厚×フランジ厚」の順で表記します。たとえば、[-100×50×5×7.5、[-150×75×6.5×10、[-200×80×7.5×11などがあります。フランジの内側に傾斜がついている点が、H形鋼との形状上の違いのひとつです。
建築・仮設での主な用途
溝形鋼は、次のような場面で多く使われます。
- 母屋、胴縁、階段のささら桁など、比較的小さな荷重を受ける二次部材
- 開口まわりや設備機器架台の補強枠
- 二本を背中合わせ(または向かい合わせ)にして組み合わせた梁・柱の部材
- 仮設のブラケット、受け桁、養生枠、手すり支柱の取付け材
仮設鍛冶工事では、H形鋼ほど大きな断面は必要ないものの、山形鋼よりも剛性が欲しい場面で重宝されます。また、山留め工事では、腹起しや切梁まわりの受け材に、溝形鋼を二本合わせた形で使う例があります。
接合の自由度が高い点も特長です。ウェブ面とフランジ外面が平らなので、他の部材に当てて溶接したり、ボルトで取り付けたりしやすく、補強部材として使いやすい形状です。
使用上の注意点
溝形鋼の断面は、左右対称ではありません。曲げに対する力の中心(せん断中心)が、ウェブより外側の断面外にあります。そのため、荷重がウェブの面内を通らずに作用すると、曲げと同時にねじれが生じます。
ウェブ面に沿って荷重が通るように接合したり、二本を背中合わせにしてつなぎ材で一体化したりすると、ねじれの影響を抑えられます。仮設の受け桁として使う場合は、荷重の作用位置と材の向きに特に注意が必要です。
また、凹部には水や汚れがたまりやすく、錆が進行しやすい面があります。屋外では、水抜きの孔を設けたり、錆止め塗装を適切に行ったりします。吊り上げる際は、フランジの先端やウェブの孔の縁で玉掛けワイヤーが傷まないよう、当て物の使用を徹底します。
せん断中心と、二丁使いによる補強
溝形鋼は、荷重の位置によってはねじれやすい断面です。通常、荷重が部材の重心を通る場合には、曲げ変形だけが生じます。しかし溝形鋼では、「せん断中心」が重心とは別の位置(ウェブの外側)にあります。荷重がせん断中心を通らない場合、荷重の大きさに応じてねじりモーメントが生じ、ねじれ変形を起こします。
これを抑える方法のひとつが、二本の溝形鋼を背中合わせにして使う方法です。2本のウェブを密着させるか、一定の間隔をあけて、つなぎ材(プレートなど)で連結します。断面が左右対称になるため、せん断中心が全体断面の中心に近づき、ねじれの影響が小さくなります。この組合せは、仮設の腹起しなどでも、設計図で見る機会が多い使い方です。
いずれの場合も、つなぎ材の間隔や溶接の仕様が、全体の剛性と座屈耐力に影響します。現場の都合で間隔を広げたり、溶接を省略したりしないでください。
なお、溝形鋼の許容荷重や断面性能は、断面寸法から決まります。断面性能の数値はカタログや規格表で確認でき、仮設計画では仮設物の設計条件に照らして検討します。サイズの変更が必要な場合は、必ず設計者や施工管理者の確認を取ります。
柴田工業の現場から
溝形鋼は加工も取付けもしやすく、仮設の受けでよく使います。ただ、片側から荷重が乗るとねじれて開く性質があります。背中合わせにするか、荷重の通り道を意識して組むのがコツです。