山留め工事の現場
RETAIN

山留め工事

Earth Retaining Works

工事の種類
やまどめこうじ

山留め工事とは

山留め工事とは、地下構造物を施工する際に、掘削した周囲の地盤が崩壊しないよう支える仮設工事のことです。ビルの地下階やマンションの地下駐車場、地下鉄のトンネルなど、地面を深く掘り下げて構造物を造る場合に不可欠な工事です。

都市部の建設現場では、すぐ隣に既存の建物や道路、地下鉄、ライフライン(水道・ガス・電気)が存在します。地面を掘ったときに周囲の地盤が崩れれば、隣接する建物の傾斜や道路の陥没といった甚大な被害につながります。山留め工事は、こうした二次災害を防ぎ、安全に地下工事を行うための「土のダム」を造る工事です。

山留め工事は仮設鍛冶工事の中核を占める工事であり、鍛冶工事の技術が最も求められる現場のひとつです。

山留めの基本構造

山留め工事の基本構造は、大きく分けて山留め壁支保工の2つの要素で構成されます。

山留め壁は、掘削面の周囲に設置する壁体です。鋼矢板(シートパイル)、親杭横矢板、ソイルセメント柱列壁(SMW)、地中連続壁(RC壁)などの種類があり、地盤条件や掘削深さに応じて使い分けます。

支保工は、山留め壁が土圧で内側に倒れないよう支える構造体です。代表的な支保工として、水平方向に架け渡す切梁と、山留め壁に沿って設置する腹起しがあります。切梁と腹起しはH形鋼で製作され、溶接やボルト接合で組み立てます。

主な山留め工法

親杭横矢板工法

H形鋼の親杭を一定間隔で地中に打ち込み、掘削の進行に合わせて杭と杭の間に木製の横矢板を差し込んでいく工法です。比較的浅い掘削(5m程度まで)や、地下水位が低い地盤に適しています。コストが抑えられるため、中小規模の現場で広く採用されています。

鋼矢板工法(シートパイル工法)

U字型やZ字型の断面を持つ鋼矢板を、バイブロハンマーや圧入機で地中に連続して打ち込み、止水性のある壁を形成する工法です。地下水が多い地盤でも水の浸入を防げるため、都市部の深い掘削工事で多用されます。

ソイルセメント柱列壁工法(SMW工法)

地盤にセメントミルクを注入しながら攪拌し、H形鋼を芯材として挿入する工法です。低振動・低騒音で施工でき、周辺環境への影響が少ないため、住宅密集地や商業地域での施工に適しています。スーパーゼネコンの都心再開発現場で頻繁に採用される工法です。

施工の流れ

1. 山留め壁の施工 ── 掘削に先立ち、敷地の周囲に山留め壁を設置します。鋼矢板の打設やSMW施工は、専門の重機を使って行います。

2. 1次掘削 ── 最初の支保工(1段目の切梁腹起し)の設置レベルまで掘削します。

3. 1段目支保工の設置 ── 鍛冶工がH形鋼の腹起しと切梁を溶接・ボルト接合で組み立てます。クレーンで重量物を吊り込み、玉掛け技能者と連携して正確な位置に据え付けます。

4. 2次掘削 → 2段目支保工 ── 掘削深さが増すごとに、支保工を段階的に追加していきます。大規模現場では3段〜5段の切梁が架設されることもあります。

5. 地下躯体の施工 ── 設計深さまで掘削が完了したら、地下躯体(基礎・地下階のコンクリート構造)を施工します。

6. 支保工の解体・埋め戻し ── 地下躯体が完成し自立強度を得た後、下段の支保工から順に解体・撤去します。

安全管理のポイント

山留め工事は建設工事の中でも最もリスクの高い工種のひとつです。山留め壁の崩壊は大規模な土砂崩れにつながり、作業員の埋没や隣接建物の倒壊を引き起こす可能性があります。

安全管理として、地盤の変位計測(インクリノメーターや地中傾斜計)を常時行い、山留め壁の変形量が許容値を超えていないか監視します。また、支保工のボルトの緩みや溶接部のクラックを定期的に点検し、異常があれば即座に補強します。施工管理者は計測データを日々確認し、安全判断を行います。

都市の「地下」を支える見えない力

東京や大阪の超高層ビルの多くは、地下3階〜5階の深さまで地下構造を持っています。地下20メートルを超える掘削では、山留め壁にかかる土圧は1平方メートルあたり数十トンに達します。この巨大な力を切梁と腹起しで支えるため、使用されるH形鋼は断面が500mm×300mmを超える大型部材になることも珍しくありません。

スーパーゼネコンの再開発現場では、山留め工事だけで数ヶ月を要し、仮設鍛冶工の常駐が必須です。支保工の製作・設置・解体のすべてに溶接クレーン作業が伴うため、鍛冶工の技術力が工事全体の品質と安全を左右します。完成後には跡形もなく撤去される仮設工事ですが、地下を支えた痕跡は確かに街の基盤として残り続けるのです。

目的
地盤崩壊の防止
構成要素
山留め壁・切梁・腹起し
必要技術
溶接・玉掛け・計測管理

柴田工業の現場から

上沢直二
上沢 直二 仮設鍛冶工事担当

山留めの切梁架設は、鍛冶屋の腕が一番試される場面です。H形鋼がトン単位で、しかも地下の狭い空間でクレーンで吊り込んで溶接する。位置がずれたら土圧に耐えられない。スーパーゼネコンの現場だと計測管理が厳しくて、毎日の変位データを見ながら「あと何ミリまでOK」という判断を繰り返します。緊張感がありますが、地下躯体が完成して支保工を解体した瞬間、「ちゃんと支えきったな」という達成感がたまらないですね。

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