
つり耳取付
Lifting Lugs Installation
つり耳取付の目的と種類
つり耳取付は、クレーンなどの機械で部材を吊り上げるための取付点を事前に設置する作業です。鉄骨部材では建て方用ピースとして溶接で固定され、コンクリート部材では埋込式つり耳として打設前に配置されます。
主な種類として以下があります。
- 溶接式つり耳:鉄骨部材に溶接で固定。強度と耐久性に優れる
- 埋込式つり耳:コンクリート打設時に型枠に埋め込まれる金具
- ボルト式つり耳:ボルト接合で取り外し可能。運搬後に除去される場合もある
鉄骨組み立て設計図では、各部材のつり耳位置と容量が明示され、鉄骨製作図に反映されます。
つり耳取付の設計と施工基準
つり耳の設計には構造計算が必要です。以下の項目が確認されます。
- 吊り荷重:部材の自重と施工時に加わる動的荷重(衝撃係数1.1~1.5倍)を考慮
- 取付位置:部材の重心を通る複数吊り点の配置。不均等な応力集中を避ける
- 強度検証:JIS溶接による溶接部の強度、ボルト接合の引張強度を計算
鉄骨仮設工事では、クレーン操作安全と連動して、つり耳の取付状況を工程確認時に検査することが定められています。
運搬・建て方時の安全管理
つり耳取付後の運搬・建て方では、以下の安全確保が必須です。
- つり具の選定:つり耳の設計容量に合わせたクレーン荷重チェックの実施
- 吊りバランスの確認:複数吊り点を使用する場合、各点の荷重が均等か検証
- つり耳損傷の確認:運搬中の損傷がないか検査、UT検査による内部欠陥確認
- 作業員の安全配置:安全停止指示のもと、吊り荷下での作業禁止
鉄骨組み立て安全管理では、つり耳取付の安全検査を施工管理技士が確認し、問題がある場合は建て方を中止する判断が求められます。
品質記録と検査体系
つり耳取付は品質記録として以下を保存します。
特に鉄骨工事仮設電力設計と異なり、つり耳は建て方完了後も後施工アンカーとして残存することがあり、その場合は設計図書に明記されます。
複数吊り点設計と吊りバランスの重要性
大型部材や特殊形状部材の場合、2点以上のつり耳が配置されます。この際、吊りバランスが不適切だと、部材が傾斜して吊り具に不均等な負荷がかかり、最悪の場合つり耳の破断や部材の落下事故につながります。設計段階では、部材の重心位置を正確に把握し、各吊り点からの距離を計算して、等荷重配置を実現することが必須です。施工段階では、クレーン操作員が吊り荷の傾斜を監視し、緩徐に持ち上げる操作が厳格に実行されます。特に建て方時の微調整段階では、つり荷がわずかな傾きを示すことがありますが、この場合は即座に下ろしてバランスを再調整する対応が求められます。
柴田工業の現場から
つり耳の取付は見落とされやすいですが、建て方の安全に直結する重要な箇所です。特に溶接つり耳の場合、溶接品質の確認が曖昧になることがあります。製作工場での<a href='/glossary/yousetsu-kanri-gishi/'>溶接管理技士</a>の検査と、現場での再検査を二重にすることで初めて安心できます。つり耳からの落下事故は重大事故になるので、決して妥協しません。