鉄骨工事仮設電力設計に関する建設現場イメージ
Steel Erection Temporary Power Supply Design

鉄骨工事仮設電力設計

Steel Erection Temporary Power Supply Design

工事の種類
てっこうこうじかせつでんりょくせっけい

鉄骨工事仮設電力設計とは

鉄骨工事仮設電力設計は、現場で使用する各種電動工具・溶接機・照明・仮設設備の電力需要を予測し、受電箱から各作業エリアまでの配線経路・容量・保護装置を計画する設計プロセスです。

鉄骨工事は複数の鍛冶職人が同時に複数の溶接機を稼働させるため、電力需要が建築工事の他分野より高い傾向にあります。不十分な電力供給は作業効率の低下、溶接品質の悪化、安全事故につながるため、早期の詳細設計が必須です。

仮設電力設計の主要要素

電力需要の計算
現場での同時稼働を想定した溶接機台数、電動グラインダー・ドリル・トランス・照明・事務室エアコンなど全ての電動設備の消費電力を把握します。

溶接機は使用率(デューティサイクル)を考慮し、カタログの定格電力をそのまま合算せず、現場の実際の稼働パターンに基づき補正します。例えば、300A溶接機を4台同時稼働させる場合、実際の平均電力は定格電力の60~70%程度となることが多いです。

受電方式の決定
建物本体への仮設電気引き込み、または仮設トランスを利用した受電を選択します。大型施工では、敷地内に複数の分電盤を配置し、各階層・エリアへの配線を分散させることで、電圧降下と漏電リスクを低減します。

配線経路と容量管理
溶接機が配置される高所・屋外作業エリアへの配線は、耐候性・耐衝撃性に優れたキャブタイヤケーブルを使用します。配線長が長い場合、電圧降下により溶接品質が低下するため、ケーブルの断面積を大きくするか、トランスを複数配置する工夫が必要です。

安全装置と漏電対策
仮設電力設計では、漏電遮断器(ELB)の配置、接地工事の施工方法、断路器・配線用遮断器の選定を厳格に行います。現場での湿度が高い環境では、30mA以下の高感度漏電遮断器の使用が推奨されます。

施工管理との連携

仮設電力設計は単なる電気技術者の領域ではなく、施工管理技士と協力し、以下を確認しながら進行します:

• 鉄骨工事の工程表:溶接工事の時期・規模・配置がいつ変わるか
• 建物躯体の進捗:配線の保護状況、漏電リスク変化
• 隣接工事との調整:電力需要の共用、配線の干渉リスク

工事途中での配置変更・追加工事が発生した場合、仮設電力設計を速やかに更新し、必要に応じてケーブルの増設やトランス増備を検討します。

溶接機の同時稼働率と電力計算の実務

鉄骨工事での電力計算で最も難しいのは、溶接機の『同時稼働率』の予測です。カタログに記載された定格電力(例:300A溶接機で約90kVA)はピーク電力であり、実際には以下の要因で低減されます:

• デューティサイクル:溶接時間と休止時間の比率(例:50%の場合、平均電力は50%削減)
• 作業の順序性:複数の溶接職人が同一部材の溶接を交代で行う場合、完全には同時稼働しない
• 季節・時間帯による変動:朝方は準備作業で溶接が少ない、昼間は複数層を同時進行など

施工計画段階で、詳細な日程計画・配置図を作成し、ピーク時の同時稼働台数を予測することが重要です。安全側の設計として、計算値の110~120%の容量を確保する現場も多くあります。

また、配線の設計段階で『将来の工事拡張に対応できるか』も考慮し、予備ケーブルや分電盤の増設スペースを事前に確保しておくと、突発的な電力需要増加に柔軟に対応できます。

同時稼働率
溶接機の定格電力から実際の平均電力を推定するため、デューティサイクル・作業順序を詳細に検討
配線容量
電圧降下を3%以内に抑えるため、ケーブル断面積を計算し、配線経路を最短化
安全装置
湿度環境に応じて高感度漏電遮断器を選定し、定期的な動作試験を実施

柴田工業の現場から

上沢直二
上沢直二 事務・現場兼務

仮設電力設計の書類が不十分だと、現場から『溶接機が止まった』『漏電ブレーカーが落ちた』という報告が頻繁に来ます。最初から容量に余裕を持たせて設計すれば、こうした不具合は大幅に減ります。事務作業も少なくなりますね。

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