溶接試験に関する建設現場イメージ
Welding Test

溶接試験

Welding Test

工事の種類
ようせつじっけん

溶接試験とは

溶接試験(ようせつじっけん)とは、鉄骨工事における溶接品質を確保するための包括的な検査体系です。溶接の本質上、肉眼では見えない欠陥(気孔、ブローホール、融合不良等)が内部に発生するリスクが常にあります。このため、施工前の溶接士の技能確認から施工中の非破壊検査、さらには試験溶接による品質立証まで、複数段階の試験が行われます。

JIS Z 3801(JIS溶接)およびJASS 6(建築工事標準仕様書 鉄骨工事)に基づき、溶接試験の種類、判定基準が厳密に定められています。特に耐震性が求められる建物では、溶接品質が構造安全性に直結するため、試験項目が増加します。

施工前試験:溶接士の資格確認

溶接工事を開始する前に、配置する溶接管理技士および溶接作業者が、正式な資格を保有していることを確認します。JIS Z 3801で定義された「溶接技能者」資格は、開先形状・溶接プロセス(手作業、半自動等)の組み合わせごとに取得する必要があります。古い資格は有効期限を確認し、更新が必要な場合は事前に講習を実施します。

また、新人溶接工の場合、本工事に先立ち「試験溶接」(テストピース溶接)を実施し、基本的な技能を確認することが慣例化しています。これは資格の有無にかかわらず、現場の特殊性(高温環境、特殊な開先形状等)に対応できるか確認する、実務的な安全措置です。

施工中の非破壊試験

溶接後、外観検査(目視)に加え、複数の非破壊試験(破壊しないで検査)が実施されます。代表的なものは以下の通りです:

超音波探傷試験(UT): 最も一般的で、超音波を溶接部に当て、内部の気孔やクラックを検出します。UT検査は、厚さのある鋼材の内部欠陥に特に有効です。

放射線透過試験(RT): X線やガンマ線を溶接部に照射し、フィルムに映った像で欠陥を診断します。精度が高いが、設備コスト・放射線管理の手間が大きいため、重要部位に限定される傾向です。

浸透探傷試験(PT): 蛍光液を溶接面に浸み込ませ、表面および表面直下の欠陥を検出します。表面欠陥の発見に最適です。

磁粉探傷試験(MT): 磁場を溶接部に印加し、鉄粉の付着パターンで欠陥位置を確認します。迅速性と低コストが利点です。

施工中の試験溶接と破壊試験

重要度の高い溶接継手(例えば柱梁接合部の完全溶け込み溶接)では、施工に先立ち試験溶接を実施し、引張試験、曲げ試験などの破壊試験を行います。これにより、使用鋼材・溶接条件(電流・電圧・速度)の組み合わせが、必要な強度を満たしていることを立証します。

超音波探傷試験で欠陥が検出された場合、その欠陥の大きさや位置に応じて、補修溶接の要否が判断されます。基準値を超える欠陥は全面的に削除し、再溶接するか、またはその継手を他の工法(ボルト接合など)に変更するという判断もあります。

溶接試験記録と品質証明

すべての溶接試験結果は、溶接管理技士により記録され、試験成績書として保管されます。検査結果が判定基準に適合していることが、その溶接の品質立証となり、竣工時に発注者(施主)へ提出する品質書類の一部となります。

不合格継手が発見された場合、その原因分析を実施し、施工条件の改善・修正を記録に残すことが、組織的な品質管理につながります。同じ欠陥が繰り返されることを防ぎ、溶接工の技能向上にも寄与するのです。

耐震建築における溶接試験の強化と実例

地震多発国である日本では、とりわけ耐震改修工事や高等級の耐震性が要求される新築建物では、溶接試験がより厳格に行われます。完全溶け込み溶接(Full Penetration Weld)の継手では、100%超音波探傷試験が標準化されており、欠陥許容値も極めて低く設定されています。

実例として、免震装置の下部鋼板溶接や、制振ダンパーの取付け溶接では、試験溶接の引張試験・曲げ試験に加え、破断後の金属組織検査(ミクロ組織観察)まで実施することがあります。これは、溶接の冶金的性質が,地震時の変位吸収能力に直結するからです。

また,大規模改修工事で既存鋼材と新規鋼材を溶接する場合,鋼種の異なる継手(異材接合)となるため,さらに多くの試験項目が追加されます。このような複雑な案件では,溶接技術者による施工計画・品質管理と,第三者検査機関による監査が並行して行われ,多層的な品質保証体系が構築されます。

主要試験方法
超音波探傷試験(UT)、放射線透過試験(RT)、浸透・磁粉探傷試験
基準文書
JIS Z 3801、JASS 6、超音波探傷試験方法実施要領
試験タイミング
施工前技能確認、施工中抜取検査、重要継手全数検査

柴田工業の現場から

上沢 直二
上沢 直二 事務・現場兼務

溶接試験は手間がかかりますが、欠陥を事前に見つけることで、後々の大きなトラブルを防げます。超音波検査の結果を丁寧に読み取り、問題があれば即座に対応することが、信頼される鉄骨工事業者になる条件です。

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