
溶接実験
Welding Experiment / Welding Test
溶接実験とは
溶接実験(ようせつじっけん)は、建築物の鉄骨に対する本体溶接を実施する前に、施工条件の妥当性と最終的な品質基準への適合性を確認するための試験です。
柴田工業をはじめとする鉄骨・鍛冶工事企業では、JIS溶接やJASSO認定に基づく品質基準を満たすことを目的として、実際の施工現場または製作工場で試験体を製作し、機械的性質や外観品質を検査します。
溶接実験の種類
溶接実験には複数の種類があり、施工条件や品質要件に応じて実施されます。
- ビード試験:標準的な溶接条件での基本的な溶接品質を確認。外観検査と寸法測定が主体
- 引張試験:溶接部の抗張力を測定。JIS溶接技師の合格基準は一般的に270MPa以上
- 曲げ試験:溶接部と母材の延性(曲げやすさ)を確認。内部欠陥の発見に有効
- 超音波探傷試験:超音波探傷試験による内部欠陥の検出。特に重要な構造部材で実施
- 断面検査:顕微鏡による金属組織の観察。溶接条件の適正性を判断
溶接実験の実施手順
溶接実験は以下の手順で進められます。
- 試験計画:溶接管理技師が試験仕様を作成。母材の種類、溶接方法、開先形状、予熱条件などを指定
- 試験体製作:計画に基づき、実施予定の溶接施工と同じ条件で試験体を製作
- 試験実施:JIS溶接技師または認定検査機関による機械的試験と外観検査
- 結果評価:試験結果が設計基準を満たしているか判定。不合格の場合は施工条件を改善し再試験
- 成績書作成:試験結果を施工管理日誌に記録し、溶接施工管理の根拠資料として保存
試験結果の活用
溶接実験で確認された施工条件は、その後の本体溶接の施工基準として適用されます。
- 施工条件の確定:溶接電流、電圧、速度、予熱温度などが本体施工の標準値として固定
- 溶接姿勢管理:溶接姿勢管理における許容範囲を設定。下向き溶接で確認した場合、横向きは不可など
- 検査基準:試験体の外観品質が本体検査の目視基準となる。同等以上の品質を確保する指標
- 不適合時の対応:本体施工中に試験条件と異なる条件が発生した場合、再試験を実施して品質確保
特に溶接傷不合格管理では、試験体での許容値を参考に現場での判定基準を設定します。
溶接実験と材料品質の関係
溶接実験の成否は、使用する母材の品質に大きく左右されます。同じ溶接条件でも、母材の炭素当量や不純物含有量が異なると、溶接後の硬さや脆性が変わり、引張試験や曲げ試験の結果が大きく異なることがあります。
特に、建築物の基礎部や高応力部材では、SN400(490N/mm²等級)など高強度の鋼材が使用されることがあり、この場合の溶接実験では、予熱の必要性、溶接後熱処理の有無、使用する溶接材料の選定などが極めて重要になります。
柴田工業では、協力企業の製作工場と密接に連携し、納入鋼材の材質証明書を確認した上で、溶接実験を実施することで、確実な品質確保を実現しています。また、溶接施工要領書に記載された条件から外れる施工が必要になった場合には、柔軟に追加試験を実施する体制を整えています。
柴田工業の現場から
溶接実験の試験体製作時の品質が悪いと、本体施工でも品質が悪くなります。実験を甘く見ず、本体と全く同じ条件で試験体を作ること。その手間がトラブル防止につながるんです。