
供試体
Test Specimen (Concrete Test Cylinder)
供試体とは
供試体とは、材料の強度などを試験するために、現場から採取、または試験用に作製した試験体のことです。建築工事でとくに身近なのは、コンクリートの圧縮強度試験に使う円柱形の供試体で、現場では「テストピース」とも呼ばれます。打設したコンクリートそのものを壊して調べるわけにはいかないため、同じコンクリートから供試体を作り、その強度で全体の品質を判断します。
供試体の作り方はJIS A 1132「コンクリートの強度試験用供試体の作り方」に、圧縮強度の試験方法はJIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に定められています。円柱供試体は、直径が粗骨材の最大寸法の3倍以上かつ100mm以上、高さが直径の2倍とされています。建築工事で多く使われるのは、直径100mm×高さ200mm、または直径150mm×高さ300mmの円柱です。
供試体の種類と用途
供試体は、目的によって養生方法を使い分けます。
- 標準養生供試体:温度20±2℃の水中などで養生します。受け入れたコンクリートが、指定した品質(呼び強度など)を満たしているかを判断する、基本の供試体です。試験は、材齢28日で行うのが一般的です。
- 現場水中養生・現場封かん養生供試体:打設した構造体に近い温度条件で養生します。構造体コンクリートの強度を推定する目的で使います。
- 型枠の取外し時期を判断する供試体:構造体と同じ条件で養生し、所定の強度が出たか確認して、型枠や支保工を外す時期を判断します(型枠撤去判定)。
標準養生供試体は「そのコンクリートが良いか」を、現場養生供試体は「実際の構造体が強度を出しているか」を確認するための、それぞれ別の目的を持った試験です。両者を取り違えないようにします。
採取・保管・試験での注意
供試体は、レディーミクストコンクリートの荷卸し地点で、スランプ試験や空気量試験と同じ試料から採取するのが基本です。原則として、1回の試験につき3個の供試体を作り、その平均値などで判定します。採取は、受入れ検査(材料受け入れ検査)の一部として、監督職員の立会いのもとで行うこともあります。
作製時は、型枠にコンクリートを所定の層に分けて詰め、突き棒などで突き固めて空隙をなくします。打設直後の供試体は衝撃に弱いため、運搬や保管の際は振動を与えません。また、乾燥や急激な温度変化も避けます。供試体には、工事名、採取日、打設部位、供試体番号などを記録し、取り違えを防ぎます。
試験では、供試体の上下面を平滑に整え(キャッピングなど)、圧縮試験機で破壊するまで荷重をかけます。最大荷重を断面積で割った値が圧縮強度です。結果の判定についてはコンクリート圧縮強度試験、コンクリート材齢管理も参照してください。
供試体の強度と構造体の強度は同じではない
供試体の強度が基準を満たしていても、それがそのまま構造体の強度を保証するわけではありません。供試体は理想的な条件で作られ、養生されているのに対し、実際の構造体は、気温、締固めの状態、養生の方法、部材の大きさに左右されるためです。同じコンクリートでも、冬は強度の発現が遅く、夏は水分が失われて伸びにくいことがあります。
この差を踏まえて、建築工事では、標準養生供試体の強度による受入れ判定に加えて、構造体コンクリートの強度を確認する方法が定められています。現場水中養生や現場封かん養生の供試体を使うほか、必要に応じてコア採取や非破壊試験を行う場合もあります。こうした判定の方法や、合格の基準は、仕様書や設計図書で決められているため、必ずそちらを確認してください。
鉄骨造の現場では、スラブや基礎、柱脚まわりのコンクリート・モルタルが対象です。デッキスラブでは、型枠の代わりにデッキプレートを使用するため、型枠の取外し判定は少ないものの、後続作業の荷重(資材の仮置きや揚重)を受ける時期を判断するため、強度確認は重要です。コンクリート強度確認の手順とあわせて、計画しておくと安心です。
柴田工業の現場から
供試体は、打設当日に作って終わりではなく、その後の保管と運搬までが仕事です。置き場の振動や、冬場の凍結、夏場の直射日光で結果が変わることもあります。ラベルの記録も、誰が見ても分かるように書くのが鉄則です。