型枠撤去判定に関する建設現場イメージ
Formwork Removal Judgment / Concrete Stripping Decision

型枠撤去判定

Formwork Removal Judgment / Concrete Stripping Decision

管理の5本柱
かたわくてっきょはんてい

型枠撤去判定の背景と重要性

型枠(ゲージ)は、コンクリート打設時に液状のコンクリートを所定の形状に保持する役割を担います。コンクリートが硬化し、自立して所定の強度を発揮するようになれば、型枠を撤去(脱型)することが可能になります。しかし、撤去のタイミングを誤ると、コンクリート部材が崩壊するリスクが生じます。

「型枠撤去判定」は、施工現場で最も重要な安全判定の一つです。これは単なる形式的な確認ではなく、コンクリート強度確認試験結果、部材の厚さ・スパン、環境温度などを総合的に評価した上での判定であり、施工現場の現場監理者・施工主任の責務が大きいものです。

判定の法的根拠と基準

型枠撤去判定の基準は、以下の規格・基準に基づいています:

  • JASS5(鉄筋コンクリート工事標準仕様書):日本建築学会が発行する建築工事の標準仕様。型枠撤去に必要なコンクリート圧縮強度を部材種別ごとに規定しています。
  • 設計図書:個別プロジェクトの設計図に「型枠撤去時の必要強度」が明記される場合があります。
  • 施工実績に基づく推定式:部材厚さ、環境温度、コンクリート調合から強度発現を推定します。

一般的な基準は以下のとおりです:

  • 床版・梁(スパン6m以下):設計基準強度の60~70%到達時
  • 柱・壁:設計基準強度の50~60%到達時(側圧が小さいため)
  • 大スパン梁:設計基準強度の70~80%以上(たわみ制限を考慮)

撤去判定のプロセス

型枠撤去判定は以下の手順で実施されます:

  1. 供試体試験成績の確認:打設時に採取した試験体の強度試験結果を受領し、規定基準に到達しているか確認します。
  2. 現場環境の確認:外気温、部材厚さなどを記録し、強度発現の実績値と設計推定値を比較検討します。
  3. 非破壊検査の実施(必要に応じて):反発硬度計やコア抜き試験により、現場での実際の強度を推測します。
  4. 判定表による評価:施工計画書に記載された型枠撤去判定表に基づき、最終判定を下します。
  5. 撤去作業の指示:判定が「撤去可」となった場合のみ、型枠大工に撤去作業を指示します。

この過程では、設計者・監理者との協議が必要な場合もあります。特に異なるコンクリート調合や環境条件下での施工では、より慎重な判定が求められます。

工程管理への影響

型枠撤去判定は、建築工事の工程全体に大きな影響を与えます。床版を例にすると:

  • 床版強度確認 → 型枠撤去 → 上階躯体工事着手 → 床荷重確認後に上層施工

この一連の流れが遅れると、全体工期が後ろ倒しになります。逆に、安全基準を無視して早期撤去を強行すると、コンクリート損傷や作業者の安全事故を招きます。施工計画の立案段階から、型枠撤去予定日を明確にし、試験手配、気象予報の確認など前広な準備が重要です。

冬期施工と型枠撤去判定

冬期の施工では、気温低下によるコンクリート硬化遅延が型枠撤去判定に大きく影響します。通常は材齢7日で床版が脱型されるケースでも、冬期には10日以上の養生が必要になる場合があります。このため、冬期施工では加温養生を計画し、強度発現を促進する対応が一般的です。また、型枠撤去時点でのコンクリート表面温度が外気温と大きく異なると、温度応力によるひびが入る可能性があるため、脱型後の保温管理も重要です。鉄骨工事と並行する場合、鋼材搬入スケジュールとの調整が特に重要になり、現場全体の工程計画に大きく影響します。

撤去基準
部材種別により異なる:床版60~70%、柱50~60%、大スパン梁70~80%
判定根拠
試験体圧縮試験成績、環境温度、部材厚さ、強度推定式
記録管理
撤去判定表に判定日、判定者署名、試験成績を記載し保管

柴田工業の現場から

上沢直二
上沢直二 事務・現場兼務

型枠撤去判定は単なる事務作業ではなく、現場の安全と工程を左右する重要な判断です。事務所では試験成績書の受領と判定表の作成を担当しますが、現場の天候や気温情報も常に確認し、撤去時期の提案を行います。設計者や監理者との連絡も密にしながら、慎重に進めることが大切です。

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