
高流動コンクリート
Highly Flowable Concrete (Self-Compacting Concrete)
高流動コンクリートとは
高流動コンクリートとは、材料分離を起こさず、振動締固めをしなくても自重で型枠の隅々まで充填できるほど、高い流動性を持たせたコンクリートです。自己充填コンクリートとも呼ばれます。配筋が密な部位や、複雑な形状の型枠、締固めが難しい狭い箇所で効果を発揮します。また、締固め作業が減ることで、騒音の低減や省力化にもつながります。
配合と特徴
通常のコンクリートに比べ、粉体量(セメントに加えて、混和材などの微粉末)を多くし、高性能AE減水剤を使用して流動性を高めます。必要に応じて増粘剤を使い、材料分離への抵抗性を確保します。流動性と分離抵抗性のバランスが重要で、調合の設計や試験練りを入念に行います。混和材の選定が品質を左右します。単位水量や単位セメント量が多くなる傾向があるため、収縮ひび割れや水和熱にも注意が必要です。
品質の確認方法
通常のコンクリートのようなスランプ試験では流動性を表現しきれないため、スランプフロー試験を用います。コンクリートの広がりの直径を測り、流動性を評価します。あわせて、フローが50cmに達するまでの時間(流動速度)や、V漏斗試験などの方法で、粘性や間隙通過性を確認します。具体的な管理値は、設計図書や、日本建築学会のJASS 5、土木学会の指針などで確認します。
施工上の留意点
- 型枠への圧力:流動性が高いため、型枠に作用する側圧が大きくなります。支保工や締付け金物を十分に検討します。型枠支保工設計も参照してください。
- 型枠の漏れ:継ぎ目から、ペーストが漏れやすくなります。シールや目地処理を確実に行います。
- 打込み方法:流し込む位置や速度を計画し、骨材の分離を防ぎます。レディーミクストコンクリートの製造工場と、事前によく調整します。
- 養生:表面の乾燥によるひび割れを防ぐため、打設後は速やかに養生を行います。
鉄骨造・CFT造などでの活用
高流動コンクリートは、鉄骨造と組み合わせた構造でも使われます。代表的な例は、鋼管内にコンクリートを充填するCFT(コンクリート充填鋼管)造です。鋼管内部は、ダイアフラムなどの内部部材があるため、バイブレータでの締固めがきわめて難しく、高流動コンクリートの自己充填性が有効になります。柱の下部から圧入する、あるいは上部から落とし込むなど、工法は設計や施工計画によって選ばれます。ダイアフラムの形状や空気抜き孔の配置も、充填性に影響します。
また、プレキャストコンクリートの製造や、複雑な形状の躯体でも活用されます。ただし、流動性が高いほど、材料の品質変動に敏感になります。骨材の含水率や温度による影響を、日々の品質管理で確認し、受入れ時の試験で確実に把握することが大切です。
柴田工業の現場から
鋼管柱の充填など、鉄骨と絡む場面で高流動コンクリートに触れる機会があります。空気抜き孔の位置は、製作段階から確認しておくと現場が楽になります。