
調合
Concrete Mix Proportion
調合とは
調合とは、コンクリートやモルタルをつくるときに、セメント、水、細骨材(砂)、粗骨材(砂利・砕石)、混和剤といった材料の割合を決めること、またその結果として決まった割合のことです。建築分野(日本建築学会のJASS 5など)では「調合」、土木分野では「配合」と呼ぶのが一般的です。同じ意味ですが、建築の図書では調合を使います。
調合の目的は、必要な強度と耐久性を満たしつつ、現場で打ち込みやすい品質のコンクリートを、経済的に得ることです。強度ばかりを追うと、粘性が高くて打設しにくくなったり、セメント量が増えてひび割れやコスト増を招いたりします。逆に軟らかさだけを求めれば、材料分離や強度不足につながります。複数の要求の折り合いをつけるのが調合設計です。
調合を決める主な要素
調合では、主に次の項目を決めます。
- 水セメント比:強度と耐久性を左右する最重要項目です。水とセメントの質量比で、小さいほど強度が高くなります。
- 単位水量・単位セメント量:コンクリート1m³あたりの水とセメントの量です。単位水量が多いと乾燥収縮によるひび割れが増えるため、できるだけ少なくします。
- 細骨材率:骨材全体に占める細骨材の割合で、流動性や材料分離のしにくさに影響します。
- スランプ・空気量:スランプは軟らかさの目安、空気量はAE剤などで連行する微細な気泡の量です。普通コンクリートの空気量は、JIS A 5308では4.5%が標準で、許容差は±1.5%です。
- 混和剤の種類と量:AE減水剤、高性能AE減水剤などで、流動性や耐凍害性を改善します。
強度については、設計図書に示される設計基準強度(設計基準強度)から出発します。そこへ、打込みから材齢28日までの気温の影響などを見込んだ補正を加えて調合管理強度を決めます。さらに、製造時のばらつきを考慮した割増しを加えたものが調合強度です。こうして、実際に製造するコンクリートの強度は、設計基準強度より高めに設定されます。
現場での確認ポイント
一般的な建築工事では、調合は生コン工場が設計し、施工者が調合計画書を確認・承認します。鉄骨造の現場でも、デッキプレート上のスラブコンクリートや、基礎・柱脚まわりのコンクリートは、この流れで発注します。現場側は、調合の細部を計算するよりも、指定した条件で製造されたか確認することが大切です。
- 調合計画書の内容(水セメント比、スランプ、空気量、セメントの種類など)が、設計図書や特記仕様書に合っているか。
- 納入書の記載が、調合計画書と一致しているか。
- 荷卸し時のスランプ試験や空気量などの結果が、規定の範囲内か。
- 強度は、採取した供試体の圧縮強度試験で最終的に確認する(コンクリート圧縮強度試験)。
気温が高い夏季や低い冬季には、レディーミクストコンクリートの強度補正や温度管理が必要になることがあります。打設前に、生コン工場や元請と調合の変更・補正について協議しておくことが、品質トラブルの予防になります。
試し練りと現場での調合変更
調合は、机上の計算だけで決まるわけではありません。生コン工場では、使用する骨材の粒度や吸水率、セメントの種類に応じて試し練りを行い、計算上の調合が実際に目標のスランプや空気量、強度を出せるか確認します。骨材は産地や季節によって性質が変わるため、同じ調合表でも出来上がりが微妙に違うことがあります。
現場で「ポンプで圧送しづらい」「鉄筋が混み合っていて充填できない」といった問題が出た場合、現場判断で水を加えるのは禁物です。必要なら、スランプの変更や高性能AE減水剤の使用など、調合そのものを見直します。見直しにあたっては、監督職員の承認を得て、変更後の調合計画書を作成します。
また、調合の呼び名にも注意が必要です。「示方配合」と「現場配合」という言葉は土木の用語です。建築のJASS 5では、調合管理強度や調合強度といった用語が使われます。図書を読むときは、どの基準に基づく用語なのかを意識すると、混乱を避けられます。
柴田工業の現場から
調合計画書は専門的で難しそうに見えますが、見るべきポイントは意外とシンプルです。図面や仕様書の数値と、水セメント比・スランプ・空気量が一致しているかを確認します。書類と実際の納入書が合っているかを見るだけでも、取り違えの防止になります。