トルク管理法に関する建設現場イメージ
Torque Control Method

トルク管理法

Torque Control Method

管理の5本柱
とるくかんりほう

トルク管理法とは

トルク管理法(Torque Control Method)は、高力ボルトを締め付ける際に、トルクレンチで回転力を管理しながら目標の張力を実現する施工法です。

鉄骨接合部の信頼性と耐久性は、ボルトの張力に大きく依存しており、トルク管理法はその張力を確実に管理する重要な技術です。柴田工業のような鉄骨工事業者では、溶接管理技士や経験豊富な職人が厳密にこの方法を適用しています。

トルク管理法の基本原理

ボルト張力とトルクの関係
ボルトに加えられるトルク(回転力)は、ボルトの材質、直径、ねじピッチ、摩擦係数に依存します。一般に以下の式で表されます:

T = K × d × F

ここで T はトルク、K は係数(通常0.15~0.20)、d はボルト直径、F は目標張力です。

この関係式から、材質と直径が同じボルトであれば、一定のトルク値を加えることで一定の張力を得られるという原理に基づいています。

トルク管理法の施工プロセス

1. ボルト仕様の確認
ボルトの材質(S10T、S12.8Tなど)、直径(M16、M20、M24など)、ねじ長、ワッシャーの有無を確認します。JIS規格に適合した製品であることが必須です。

2. 目標張力の計算
構造設計図で指定された張力値を確認し、それに対応するトルク値を算出します。通常は設計者または施工技士が表を準備します。

3. トルクレンチの準備と検定
トルク管理には、指定トルク値に設定できるトルクレンチを使用します。定期的な検定(キャリブレーション)が必須で、誤差は±4%以内に保つ必要があります。

4. 仮締めの実施
全てのボルトを仮締めしてから、本締めを進めます。接合面のガタやズレを事前に吸収することで、張力のばらつきを防ぎます。

5. 本締め作業
トルクレンチを用いて、指定トルク値に達するまでボルトを回転させます。ナット回転法と異なり、回転角度ではなくトルク値で管理するため、摩擦変動の影響を受けやすい環境でも安定した結果が得られます。

6. 検査と記録
施工後、サンプルボルトを抜き取り、超音波検査などで張力を確認します。全数検査が求められる高い信頼性が必要な接合部では、トルク管理実施報告書を作成し、日付、担当者、ボルト番号、測定トルク値を記録します。

トルク管理法の適用基準

日本の建築鉄骨工事では、以下の状況でトルク管理法が一般的に採用されます:

  • 中程度の信頼性が求められる接合部
  • 現場環境が安定している場合
  • 施工品質管理体制が整備されている現場

一方、トルシアボルトナット回転法は、より高い信頼性や特殊な状況で採用されることがあります。

トルク管理法における実務上の課題と対策

トルク管理法の最大の課題は「摩擦係数のばらつき」です。ボルトやナットの表面状態、ワッシャーの品質、ねじ面の汚れなどにより、同じトルク値でも張力にばらつきが生じる可能性があります。

柴田工業では以下の対策を実施しています:

  • 素材管理:ボルト・ナット・ワッシャーを同一ロットから採用し、摩擦係数を一定に保つ
  • 環境管理:雨天施工を避け、ねじ面の汚れや水分を除去する作業を徹底
  • 作業者教育:トルクレンチの操作、ボルト初期状態の確認、結果の記録方法を細かく指導
  • 抜き取り検査の強化:施工後、全接合部の5~10%を超音波検査で張力確認

近年、超音波張力計で直接張力を測定しながらトルク値の補正を行う方法も導入が進んでいます。

基本原理
トルク値 = 係数 × ボルト直径 × 目標張力。この関係式から目標張力を実現
施工要点
仮締め後の本締め、トルクレンチの定期検定、抜き取り検査による張力確認が重要
課題対策
摩擦係数のばらつきに対し、素材管理・環境管理・作業者教育で対応

柴田工業の現場から

石堂 洋三
石堂 洋三 現場管理・積算・調達

トルク管理は調達の段階から始まります。同じ規格のボルトでも製造ロットによって摩擦係数が異なることがあり、現場で予期しない張力不足が発生することもあります。だから事前にトルクレンチの検定記録を確認し、ボルト納入時にも抜き取り検査を実施しています。小さな注意が大きなトラブルを防ぎます。

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