
トルシア形高力ボルト
Torshear Bolt / Tension Control Bolt
トルシア形高力ボルトの特徴
トルシア形高力ボルトは、ボルト頭部から細いピンテール(尾部)を持つ独特の形状をしており、締付け時にこのピンテールが一定のトルクで自動的に破断することで、締付けが完了したことを確認できるボルトです。この自動破断機能により、現場での確認作業が簡素化され、品質管理が格段に容易になるため、鉄骨工事現場では最も多く採用されています。
施工方法と品質確認
トルシア形高力ボルトの施工は、電動レンチやインパクトドライバーを用いて回転させ、規定のトルク値に達すると自動的にピンテールが破断します。この破断を目視で確認することで、締付け完了の証とするため、後から別途に引張試験をおこなう必要がありません。施工者は破断したピンテールを回収し、数量を確認することで施工漏れを防ぐことができます。また、所定のトルク値でピンテールが破断しない場合は、ボルトやナットの不具合を早期に発見できるという利点もあります。
現場における活用
柴田工業を含む多くの鉄骨工事会社では、鉄骨製作工場での工場接合には溶接を主に用い、現場での接合にはトルシア形高力ボルトを採用しています。これは工期短縮と安全性の両立を図るための標準的な施工法です。雨天時の施工が難しい溶接に対し、ボルト接合は天候に左右されにくいという利点もあります。
規格と仕様
トルシア形高力ボルトは、JIS B 1186により規定されており、F10T、F11T、F13Tなどの強度等級があります。ボルト径はM16、M20、M22、M24などが一般的で、使用する強度等級と径は構造設計図に明記されています。ナットやワッシャーも対応する規格品を使用する必要があり、品質管理の一環として受入検査を実施します。
ピンテール破断メカニズムと現場での重要性
トルシア形高力ボルトのピンテール破断は、単なる確認手段ではなく、一定の伸びを伴った引張を受けることで、ボルトに最適な残存応力を与える設計になっています。破断時に消費されるエネルギーは、ボルト本体の伸びに対応しており、この伸びの大きさが部材間に生じる摩擦力の大きさと直結しています。つまり、ピンテール破断を確認することは、単に締付けの有無を判定するのではなく、所定の張力がボルトに加わっていることを物理的に保証しているのです。現場の施工管理技士や班長は、破断したピンテールの形状(完全に破断しているか、斜め破断していないか)も視認し、異常の早期発見に努めています。不適切なピンテール破断(例えば斜め破断や部分破断)が見られた場合は、ボルト、ナット、またはワッシャーの不具合が考えられるため、直ちに原因調査と再施工を行う必要があります。
柴田工業の現場から
トルシア形は現場の強い味方です。ピンテールが落ちているのを見ると、その日の施工が成功したという実感が湧きます。ただし、破断せずに余ったボルトがあれば、すぐに原因を探ります。それが品質意識の第一歩ですね。