
ナット回転法
Nut Rotation Method
ナット回転法とは
ナット回転法は、高力ボルト(主にF10T)を締付ける際に用いられる標準的な方法です。トルク管理法と並ぶ主要な締付け方として、公共建築工事標準仕様書で定められています。この方法は、ボルト軸力の確保が確実で、施工精度が高いことが特徴です。
施工手順
ナット回転法の基本的な手順は以下の通りです:
①スナグタイト状態まで仮ボルトを締付けます。スナグタイト状態とは、手工具でナットを回転させた時に抵抗を感じ始める状態で、部材が軽く接触した状態を指します。
②スナグタイト状態から、ナットをインパクトレンチ等を使用して所定角度(通常は120°)回転させます。この角度回転により、必要な軸力がボルトに導入されます。
③全てのボルトについて同様に締付けを実施し、締付けた箇所に塗料等で確認マークを付けます。
技術基準と精度
本方法はJASS 6および公共建築工事標準仕様書で規定されており、以下の条件を満たす必要があります。
・回転角度の精度:±30°以内
・締付け速度:過度に速くない範囲(ボルト温度上昇を考慮)
・ボルトとナットは新品またはJIS規格を満たす製品
・施工者は事前に講習会等で技能を確認されていることが望ましい
現場での応用
摩擦接合を採用する鉄骨工事では、ナット回転法による確実な軸力導入が構造安全性に直結するため、厳格な管理が必要です。柴田工業のような鉄骨工事業者は、この施工方法を正確に実施するための体制整備と作業員教育を重視しています。
ナット回転法が標準方法とされる理由
ナット回転法が推奨される最大の理由は、ボルト軸力を定量的かつ確実に確保できる点です。トルクレンチを使用するトルク管理法では、ボルト長さや表面状態の変動が軸力に影響しやすいのに対し、ナット回転法は機械的な角度回転という明確な指標があります。このため、鉄骨の摩擦接合のように高い信頼性が求められる接合方式では、国家基準として採用されています。
また、施工現場での品質管理が容易という利点もあります。塗料マークにより締付け実績を可視化でき、施工管理技士による検査・確認が効率的に行えます。特に大規模な鉄骨工事では、数百~数千本のボルトが使用されるため、標準化された方法による統一的な品質確保が重要です。
柴田工業の現場から
ナット回転法は、現場で確実に軸力を入れるための基本です。インパクトレンチの性能管理と作業員教育が重要。塗料マークの確認を忘れずに。