仮設電力需要計画に関する建設現場イメージ
Temporary Power Demand Planning

仮設電力需要計画

Temporary Power Demand Planning

管理の5本柱
かせつでんりょくじゅようけいかく

仮設電力需要計画とは

仮設電力需要計画は、建設現場で使用する溶接機、クレーン、照明、工具などの電力消費量を合算し、必要な受電容量と配電設計を決定する管理業務です。計画が不十分だと、ブレーカー遮断による工事停止や、漏電事故などの安全問題が発生するため、仮設電力設計は鉄骨・仮設鍛冶工事の初期段階で実施すべき重要なステップとなります。

柴田工業のような企業では、全電力消費機器を把握し、使用時間帯別にピーク需要を計算します。例えば、溶接管理技士による複数の溶接機が同時稼働する場合、その消費電力は非常に大きくなるため、事前の容量確保が必須です。

電力消費機器の把握と負荷計算

まず現場で使用する全ての電気機器を分類し、各々の定格消費電力と使用頻度を整理します。主要な機器としては以下が挙げられます:

  • 溶接機溶接時に大きな電力消費。複数台同時稼働の可能性を考慮
  • クレーンクレーンの揚重時に高い瞬時電力が必要
  • 仮設照明:夜間作業が想定される場合、照度に応じた容量計画
  • 工具・その他:グラインダ、ドリル、その他手持ち工具の同時使用を想定

これらの消費電力を足し合わせるのではなく、同時使用率(需要率)を適用して、実際のピーク電力を推定することが重要です。通常、同時使用率は60~80%程度と見積もられますが、現場の作業パターンにより調整されます。

受電容量の決定と配電設計

計算された需要電力に、安全係数(通常1.1~1.2倍)を乗じて、受電契約容量を決定します。一般的な建設現場では、50kVA~200kVA程度の容量を契約することが多いです。

次に、仮設電路工事により、引き込み元から各現場エリアへの配電経路を設計します。この際、配線の太さ(断面積)を計画し、電圧降下が基準以内(通常3%以下)に収まることを確認します。また、仮設予算にも電力契約費用と設備費が含まれるため、費用見積もりと連動させることが重要です。

漏電保護と安全対策

安全管理の観点から、漏電遮断器(ELCB)や過電流遮断器(MCB)を各分岐回路に設置し、感電事故や火災を防ぎます。特に仮設現場では、水や湿度が多い環境での作業が多いため、感度の高い漏電遮断器(感度30mA程度)の配置が必須です。

また、仮設電力管理として、月次に電力消費量を監視し、契約容量に対する実績の推移を記録することで、今後の工程変更時に必要な増減容量を見積もることができます。

工事進捗に応じた容量の見直し

建設工事の各段階で、必要な電力は変化します。例えば、鋼材組立安全管理段階から溶接工程への移行時には、電力需要が大きく変わる可能性があります。月次工程会議で「次月の主要作業」を確認し、電力容量の過不足を判定する習慣が重要です。

需要率の設定と実務的な計算方法

電力需要計画で最も重要なのは、同時使用率(需要率)をいかに正確に見積もるかです。建設現場では、全機器が同時に最大消費を行うことはまずなく、作業パターンに応じて変動します。例えば:

  • 夜間のみ照明使用:需要率低(30~40%)
  • 昼間に溶接と軽工具が混在:需要率中程度(60~70%)
  • クレーン揚重と溶接が同時実施:需要率高(80~90%以上)

これらを工程スケジュールから読み取り、ピーク需要がいつ発生するかを予測することで、容量を最小化しながらも十分な安全マージンを確保できます。

実務では、電力会社との事前協議により、臨時需給契約の内容(供給開始日、容量、料金体系)を確定させます。また、仮設電力設計図面を作成し、配電盤の位置、分岐数、配線経路を明示しておくことで、施工時のトラブルを未然に防ぐことができます。

機器別消費電力の把握
全機器の定格消費電力を整理し、同時使用率を適用してピーク需要を計算
受電容量の安全裕度設定
計算値に1.1~1.2倍の係数を乗じて、突発的増加に対応可能な容量確保
漏電保護と安全配置
漏電遮断器の感度設定と配置により、感電・火災リスクを低減

柴田工業の現場から

石堂 洋三
石堂 洋三 現場管理・積算・調達

仮設電力計画は、現場生産性の命綱です。不足していれば工事が停止し、過剰であれば余計な費用がかかります。工程表と照らし合わせて、必要最小限の容量を見積もる経験が大事。また、電力会社との契約手続きに時間がかかることが多いので、着工前の早期検討が鉄則です。

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