
湿式工法
Wet Construction Method
湿式工法とは
湿式工法とは、セメント、砂、水を練り混ぜたモルタルやコンクリート、しっくい、プラスターなど、水を含む材料を現場で施工し、硬化や乾燥によって仕上げる工法の総称です。乾式工法と対比して使われます。代表例は、左官工事、タイルのモルタル張り、現場打ちの鉄筋コンクリート造の躯体などです。
特長と利点
湿式工法は、現場で材料を練って塗り付けたり流し込んだりするため、下地の凹凸や複雑な形状に合わせやすいのが利点です。継ぎ目の少ない一体的な仕上げが得られ、重厚感や質感といった意匠性の高い表現ができます。また、躯体と一体化させやすく、コンクリートでは耐久性や耐火性、遮音性の高い構造体になります。
施工上の注意点
水を使うため、硬化や乾燥に時間がかかり、工期が天候や気温の影響を受けやすい点が主な課題です。冬期には凍結に備える必要があり、寒中コンクリートや暑中コンクリートのように季節に応じた対策が求められます。乾燥収縮によるひび割れも起こりやすく、コンクリートひび割れ制御や、適切なコンクリート養生が欠かせません。
また、職人の技量により仕上がりに差が出やすく、材料の調合や練り混ぜ、塗り厚の管理が品質を左右します。タイルやモルタル仕上げでは、浮きや剥落を防ぐために下地処理を丁寧に行い、付着力を確認します。現場では水や粉じん、廃棄物が出るため、養生や清掃などの環境面の配慮も必要です。
鉄骨造の建物でも、デッキプレート上の床コンクリートや柱脚の無収縮モルタルなど、湿式の工程が多くあります。デッキ工事や無収縮モルタルの工程は、鉄骨工程との取り合いを工程管理で調整することが重要です。
乾燥時間を工程に織り込む
湿式工法の計画で最も重要なのは、硬化や乾燥に要する時間を工程に正しく織り込むことです。例えばモルタル塗りの上に仕上げ材を施工する場合、下地が十分に乾燥する前に次の工程に進むと、仕上げ材の剥離や変色、白華現象の原因になります。コンクリートの床に塗装や接着剤を使う仕上げでは、含水率の確認が必要です。後工程の職種が詰まりやすいため、乾燥待ちの間に別の作業を進められるよう、施工順序を工夫するとよいでしょう。部分的に乾式を取り入れて湿式の範囲を絞る方法も、工期短縮と品質確保の両面で有効です。
柴田工業の現場から
湿式は雨や寒さで工程がずれやすいので、予備日を見込むようにしています。乾燥待ちの間の段取りが、現場全体の流れを左右します。