
乾式工法
Dry Construction Method
乾式工法とは
乾式工法とは、モルタルやコンクリート、左官材料のように水を混ぜて現場で固める材料をなるべく使わず、工場で作られたボード、パネル、板材などを金物やビス、接着剤で取り付けていく工法の総称です。反対の考え方が湿式工法です。内装ではせっこうボードを軽量鉄骨壁下地に張る壁、外装ではALCパネルや金属パネル、カーテンウォールを取り付ける方法が代表例です。
特長と利点
最大の利点は、現場での乾燥や養生の待ち時間が少なく、工期を短縮しやすいことです。部材が工場で品質管理されて作られるため、仕上がりのばらつきが小さく、職人の技量による差が出にくい点もあります。水を使わないので、現場の汚れや廃棄物の発生が抑えられ、冬期の凍結の心配も少なくなります。部材を取り外して交換しやすく、改修時の対応もしやすい傾向があります。
鉄骨造では、構造体の変形に追従させやすい点も重要です。鉄骨は地震や風で動くため、下地の動きを逃がせるファスナーやスライド構造を用いることが一般的です。
施工上の注意点
乾式工法でも、完全に水を使わないわけではありません。目地の防水にはシーリングが必要で、その劣化が雨漏りの原因になることがあります。また、下地の精度が低いと、部材を取り付けた際に目地幅や通りが乱れます。そのため墨出しと仕上げ下地工事の精度確保が前提になります。
部材は工場製作のため、後からの寸法調整が難しく、施工図で事前に納まりを十分検討する必要があります。遮音、耐火、断熱の性能が求められる部位では、仕様どおりの下地や取付け方法を守ることが性能の確保につながります。品質管理の面でも、取付け金物の種類や本数、ビスのピッチなどを検査項目に入れておきます。
湿式との使い分け
乾式と湿式は、どちらが優れているというものではなく、部位や条件によって使い分けます。工期が厳しい現場や、鉄骨造の外壁、間仕切りのように軽量化と層間変形への追従が必要な部位では乾式が選ばれやすい傾向があります。一方、タイルの重厚感や左官の質感を求める場合、下地の不陸を吸収したい場合には湿式が向きます。実際の建物では両者を組み合わせることも多く、例えば外壁を乾式のパネルで構成し、水まわりの床だけをモルタル下地にするといった判断が行われます。設計意図と工程、コストを見比べて選定することが大切です。
柴田工業の現場から
乾式は工期が読みやすいのが魅力ですが、部材の手配が遅れると現場が止まります。施工図の確定と発注のタイミングは特に気をつけています。