
作業主任者
Work Chief (Operations Supervisor)
作業主任者とは
作業主任者は、労働安全衛生法第14条に基づき、労働災害を防ぐための管理を必要とする一定の作業について、事業者が選任しなければならない責任者です。対象となる作業は同法施行令第6条で定められており、作業の種類ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者、または技能講習を修了した者のうちから選任します。
作業主任者は、現場で作業方法を決定し、労働者を直接指揮するとともに、器具・工具・保護具などの点検や使用状況の監視などを行います。職務の具体的な内容は、作業の種類ごとに労働安全衛生規則などで規定されています。また、選任したときは、作業主任者の氏名と職務を作業場の見やすい箇所に掲示するなどして、関係労働者に周知する必要があります。
建設現場で関係する主な作業主任者
建設工事では、作業の危険性に応じて多様な作業主任者が置かれます。たとえば次のものがあります。
- 足場の組立て等作業主任者(足場の組立て・解体・変更)
- 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者(高さ5m以上の鉄骨の組立て・解体など)
- 型枠支保工の組立て等作業主任者(型枠支保工)
- 土止め支保工作業主任者(山留め工事に関連)
- 石綿作業主任者
- 鋼橋架設等作業主任者、コンクリート橋架設等作業主任者
- 高圧室内作業主任者(免許)
- コンクリート破砕器作業主任者
多くは技能講習の修了で選任できますが、高圧室内作業主任者のように免許が必要なものもあります。
職長・安全衛生責任者との違い
作業主任者は「特定の危険作業ごとに法令で選任が義務付けられる者」です。一方、職長・安全衛生責任者は、職長教育を受けて現場の作業員を指導する立場や、元請との連絡調整を担う立場で、位置づけが異なります。同じ人が複数の役割を兼ねることもありますが、作業主任者は作業の場に実際にいて指揮することが前提です。
現場運用のポイント
作業主任者を選任しても、書類上だけの配置では意味がありません。作業計画の段階から主任者が関わり、作業手順や人員配置、KY活動に反映させることが重要です。また、資格の種類や有効性、選任の記録、掲示を現場の安全管理の一環として確認します。元請が下請の選任状況を把握することも求められます。
選任と「複数作業の兼務」の考え方
作業主任者は、作業の種類ごとに選任するのが原則です。同じ現場で足場の組立てと鉄骨の組立てが同時進行する場合は、それぞれの作業に応じた資格者を配置しなければなりません。同一人物が複数の資格を持っていても、作業場所が離れていたり同時に作業が行われたりして、直接指揮が及ばない状況では職務を果たせないため、実態に合わせた人員配置が必要です。
また、作業主任者の資格を持っているだけでは不十分で、その作業に必要な知識と経験を備え、作業方法の決定、点検、墜落・倒壊などの危険防止措置を自ら判断できることが求められます。技能講習は一度修了すれば足りますが、法改正や技術変化にあわせ、教育で知識を更新することが望まれます。
なお、各作業主任者の対象作業の範囲や職務の詳細は、政令・省令・告示で定められているため、実際の選任にあたっては最新の条文や所轄労働基準監督署に確認してください。
柴田工業の現場から
作業主任者は選任して掲示して終わりではなく、作業の場で実際に指揮してこそ意味があります。工程に合わせて、どの作業にどの資格者を置くかを早めに決めておくのが現場管理のコツです。