
石綿作業主任者
Asbestos Work Chief
石綿作業主任者とは
石綿作業主任者は、石綿(アスベスト)を取り扱う作業で、労働者が石綿に汚染され、または吸入しないよう作業の方法を決定し、作業を直接指揮する者です。労働安全衛生法第14条および同法施行令第6条に定める作業主任者の一つで、石綿障害予防規則に具体的な選任義務と職務が規定されています。資格は、石綿作業主任者技能講習を修了することで得られます。
石綿は2006年に製造・使用が全面禁止されましたが、それ以前に建てられた建築物には、吹付け材、保温材、耐火被覆材、断熱材、成形板などとして使用されている場合があります。そのため、建築物の解体・改修では石綿への対応が欠かせません。耐火被覆や断熱工事、ロックウールなどの既存材との関係でも、事前の確認が重要です。
選任が必要な作業と職務
選任が必要となるのは、石綿等を取り扱う作業(試験研究のための取扱いを除く)、石綿等を試験研究のために製造する作業、石綿等が使用されている建築物や工作物の解体・破砕・改修の作業などです。作業の種類ごとに、作業主任者を選任し、作業場所ごとに配置しなければなりません。
石綿障害予防規則に定める主な職務は、①作業の方法を決定し、労働者を指揮すること、②局所排気装置、除じん装置、その他労働者が石綿等に汚染され、または石綿等を吸入しないようにするための設備を、1か月を超えない期間ごとに点検すること、③保護具の使用状況を監視すること、などです。呼吸用保護具、保護衣、作業場の隔離や湿潤化といった措置が適切に行われているかを確認します。
事前調査と現場での流れ
建築物の解体・改修工事では、石綿の使用の有無を事前に調査することが法令で義務づけられています。調査は、令和5年10月以降、一定の建築物について、所定の講習を修了した建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行う必要があります。結果は記録して保存し、発注者への説明や現場への掲示が求められます。
石綿含有の建材が見つかった場合は、飛散のおそれの程度に応じて、隔離、負圧管理、湿潤化、集じんなどの措置を選び、作業主任者のもとで実施します。鉄骨の工事では、鉄骨工事や仮設鍛冶工事の取り合いで既存の耐火被覆に触れる場面があり得るため、鉄骨解体時の技能と資格要件とあわせて、元請の事前調査結果を共有しておくことが大切です。計画段階では仮設工事リスク評価の考え方も役立ちます。
作業主任者の「選任」と技能講習の位置づけ
作業主任者は、技能講習を修了しただけで自動的に職務につくわけではなく、事業者が作業ごとに選任して初めて配置されます。選任された人の氏名と職務は、作業場の見やすい場所に掲示して関係労働者に周知します。石綿の作業では、粉じんにばく露してから発症までに数十年かかる場合があるため、作業記録や健康診断の記録も長期に保存するよう定められています。技能講習の修了証は携帯し、作業に配置する際には資格を確認します。受講や保管の管理は、技能講習・資格取得教育の一環として台帳化しておくと確実です。
柴田工業の現場から
古い建物の改修では、既存の耐火被覆の中身が分からないまま作業を始めないことが鉄則です。事前調査の結果は、必ず現場全員で共有します。