
大梁
Girder (Main Beam)
大梁とは
大梁(おおばり)とは、建物の柱と柱の間に架け渡され、床や屋根の荷重を柱へ伝える主要な水平構造材のことです。英語では girder や main beam と呼ばれます。大梁に対して、大梁と大梁の間に架けて床の荷重を大梁へ伝える梁を「小梁」と呼びます。荷重は一般に、床スラブから小梁、小梁から大梁、大梁から柱、そして基礎へと流れます。つまり大梁は荷重の流れの中でも、柱に直接つながる重要な部材です。
鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造のいずれにも大梁はあります。鉄筋コンクリート造では、あばら筋(あばら筋)でせん断力に備え、主筋で曲げに備えます。鉄骨造では断面の形が重要で、H形鋼が最も一般的に使われます。梁の高さを表す「梁せい」が大きいほど曲げに対する剛性は高まりますが、階高や設備配管との取り合いも考える必要があります。
鉄骨造における大梁
鉄骨造の大梁は、H形鋼のフランジが曲げモーメントを、ウェブがせん断力を主に負担します。鋼材には建築構造用のSN材(SN材)などが用いられます。柱と梁を剛に接合するラーメン構造(ラーメン構造)では、大梁が地震時にも大きな曲げを受けます。そのため柱梁接合部の品質が、建物全体の安全性を左右します。
柱梁接合部は、梁のフランジを柱にあるダイアフラム(ダイアフラム)へ溶接し、ウェブを高力ボルト(高力ボルト)で接合する形式が広く見られます。フランジの溶接は、完全溶込み溶接(完全溶込み溶接)が基本です。溶接ではエンドタブ(エンドタブ)や裏当て金(裏当て金)を使い、開先(開先)の形状管理が品質を左右します。梁端部の切欠きであるスカラップ(スカラップ)は、応力集中を避ける目的で、近年は設けない工法も採用されています。
大梁の上には、デッキプレート(デッキプレート)を敷き、コンクリートを打設して床を形成する例が多くあります。大梁にスタッドを溶接してコンクリートと一体化させる設計もあります(スタッド溶接)。
現場での施工と管理
大梁は建方の際にクレーン(クレーン)で吊り込み、柱に取り付けます。まず仮ボルト(仮ボルト)やエレクションピース(エレクションピース)で仮固定し、建て入れ精度(建入精度)を確認してから本接合に進みます。大梁は長く重い部材なので、玉掛け(玉掛け技能)の合図や吊り位置の確認が欠かせません。
私たち鉄骨・仮設鍛冶の現場では、大梁の取付けに合わせて親綱や足場、手すりなどの墜落防止設備を整えます。梁上での作業は高所作業になるため、安全管理とKY活動を徹底することが重要です。施工図(施工図)や工作図(工作図)で梁の符号、寸法、接合部の仕様を事前に確認しておくと、現場での手戻りを防げます。
大梁の横座屈と補剛
H形鋼の大梁は、曲げを受けると圧縮側のフランジが横方向にはらみ出す「横座屈」を起こすことがあります。これを防ぐために、小梁や横補剛材で大梁の圧縮フランジを拘束します。設計では、床スラブや小梁がこの補剛の役割を兼ねる例が多くあります。ただし建方中は、床のコンクリートがまだ打たれておらず、小梁の取付けも途中の状態です。完成時と同じ補剛効果は期待できません。
そのため仮設の段階では、仮ボルトの本数やワイヤー、仮設ブレースなどで部材を安定させる配慮が必要です。大梁の中間部に荷重を載せる前に、小梁の取付けや仮設材の状況を確認しておくと安心です。工事中の構造の安定は、設計図書だけでなく、施工計画書(施工計画書)の建方計画に基づいて検討します。不明点は設計者や元請と協議して進めます。
柴田工業の現場から
大梁は建方で最初に荷重が掛かる部材なので、吊り位置と仮ボルトの本数を必ず確認します。梁の上を歩く作業が続くため、親綱や手すりの設置段取りも、梁の取付け計画と一緒に考えるようにしています。