
移動式クレーン
Mobile Crane
移動式クレーンとは
移動式クレーンは、クレーン等安全規則で「原動機を内蔵し、かつ、不特定の場所に移動できるクレーン」と定義されている機械です。トラックなどの運搬車に搭載したものや、クローラ(履帯)で走行するものがあり、つり上げ荷重が0.5t以上のものが規則の対象となります。建設現場では、鉄骨や仮設材、機械のつり込みに広く使われ、一般的なクレーンのうち、現場ごとに機械を搬入して使える点が特長です。
代表的な種類には、狭い現場で小回りの利くラフテレーンクレーン、トラックに架装したトラッククレーン(車両の一種)、不整地で重量物を扱えるクローラクレーン、そして公道走行性能と不整地性能を兼ねたオールテレーンクレーンがあります。現場の広さ、地盤、つり荷の重量、作業半径に応じて機種を選定します。
資格と作業の基本
運転に必要な資格は、つり上げ荷重で区分されます。つり上げ荷重が5t以上の移動式クレーンは移動式クレーン運転士免許、1t以上5t未満は小型移動式クレーン運転技能講習の修了、1t未満は特別教育の修了が必要です。つり荷を掛ける玉掛けの作業にも、つり上げ荷重1t以上は玉掛け技能講習、1t未満は特別教育の修了が求められます。
作業にあたっては、地盤の強度を確認し、アウトリガーを最大限に張り出して据え付けること、定格荷重を超えない範囲で使用すること、作業の方法や手順を定めて関係労働者に周知すること、合図者を指名して一定の合図を行うこと、つり荷の下への立入りを禁止すること、などが基本です。クレーン操作安全管理とクレーン荷重確認は、事故防止の中心になります。
鉄骨・仮設工事での使われ方
鉄骨の建方では、柱や梁を所定位置につり込み、高力ボルトで仮締めするまで荷を保持します。このため、建方計画書で機種、設置位置、作業半径、つり荷の重量を事前に検討します。仮設鍛冶工事でも、足場や安全設備の資材を揚重する際に移動式クレーンを使うことがあります。
主な事故は、転倒、つり荷の落下、ブームの接触や感電、つり荷や機体との挟まれです。地盤の沈下による転倒、架空電線との離隔不足、過負荷、玉掛けの不備が要因になりやすいため、作業前のKY活動、ワイヤロープなど玉掛け用具の点検、立入禁止区画の設定が欠かせません。機械自体も、法令に基づく検査や定期自主検査を受ける必要があります。
機種選定と事前確認のポイント
機種選定では、定格総荷重表(作業半径とブーム長さごとの定格荷重を示した表)を用い、つり荷の質量にフックや玉掛け用具の質量を加えた値が定格荷重の範囲に入るかを確認します。同じ「25t吊り」でも、作業半径が大きくなると吊れる荷重は大きく下がります。このため、設置位置は吊り上げ位置と据え付け位置の双方から決めるのが基本です。あわせて、搬入路の幅と勾配、敷鉄板などによる地盤の養生、周辺の架空線や構造物との離隔を事前に調べます。大型機の搬入では道路の通行条件に制約がある場合もあるため、早めに確認します。建設ロジスティクス管理の観点でも、搬入と組立ての段取りが重要です。
柴田工業の現場から
クレーンの事故は、地盤と据え付けの確認不足から起きることが多いです。定格荷重表の確認と敷鉄板の養生は、毎回省かないようにしています。