
ボール盤
Drill Press
ボール盤とは
ボール盤は、主軸に取り付けたドリルを回転させ、上下に送りながら材料に孔をあける工作機械です。ドリル盤とも呼ばれます。基本構造は、土台(ベース)、コラム(支柱)、テーブル、主軸、ドリルチャック、送りハンドルで、回転数を変える機構を備えています。
鉄骨工事では、ボルト孔、取付用の孔、仮設金物の孔あけなど、加工のさまざまな場面で使われます。
ボール盤の種類
- 卓上ボール盤:作業台に据え付ける小型機。小さな部材や小径の孔に向く。
- 直立ボール盤:床置きで剛性が高く、中径までの孔あけに使う。
- ラジアルボール盤:コラムを中心にアームが旋回・昇降し、大きな材料を動かさずに主軸を孔位置へ移動できる。
- 磁気ボール盤(マグネットドリル):電磁石で鋼材に吸着して使う可搬式。現場や大型部材の孔あけに用いられる。
鉄骨製作工場では、材料の寸法に合わせた専用の孔あけ設備も使われます。現場では、ボール盤を据え付けられないため、可搬式の磁気ボール盤や電動ドリルを使うのが一般的です。
孔あけの品質と安全
高力ボルトの孔やアンカー孔は、ボルトの呼び径に応じた孔径や位置の精度が求められます。孔径の許容差は設計図書や仕様書で定められています。例えば高力ボルト接合では、孔のずれが組立精度に影響します。加工前に位置を墨出しし、必要に応じて下孔をあけてから拡げると精度を保ちやすくなります。大径の孔を一度にあけようとすると切削抵抗が大きくなるので、段階的な孔あけが有効です。孔あけ後は、バリをグラインダーなどで除去します。
安全面で最も重要なのは巻き込まれ防止です。労働安全衛生規則第111条は、ボール盤などの回転する刃物に巻き込まれるおそれのある作業で、手袋を使用させてはならないと定めています。そのほか、次の点を守ります。
切断工具との使い分けも覚えておくと、現場の段取りがよくなります。材料を切る作業はバンドソーが担当し、ボール盤は孔あけの専用機として使います。
磁気ボール盤を現場で使うときの注意
磁気ボール盤は、電磁石の吸着力で鋼材に固定して孔をあける可搬式の機械です。ただし、吸着力は材料の条件に左右されます。母材が薄い、表面に塗装や錆やミルスケールがある、孔位置が材の端に近い、といった条件では吸着力が低下することがあります。使用前に取扱説明書の適用板厚を確認し、吸着面を清掃してから使います。
高所や不安定な姿勢で使う場合は、停電や電源の遮断で吸着力が失われるおそれに備え、落下防止の措置をとります。切削油の飛散や切りくずの落下による周囲への影響も考慮し、建方後の高所で使うときは、下部の立入管理や養生も併せて計画します。
孔あけは、墨出しを正しく行うことが精度の出発点です。孔位置の確認、材質に合ったドリルの選定、回転数と送りの調整、クランプによる確実な固定を、作業前に確認する習慣をつけましょう。
柴田工業の現場から
孔あけは地味な作業ですが、位置が狂うと建方で全部に響きます。墨を確認し、材料を固定してから回す。基本を守ることが、精度にも安全にもつながります。