
特定化学物質作業主任者
Specified Chemical Substances Work Chief
特定化学物質作業主任者とは
特定化学物質作業主任者は、労働安全衛生法14条と同法施行令により、特定化学物質障害予防規則(特化則)の対象となる一定の作業で選任が義務付けられる作業主任者です。資格は免許ではなく、「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了することで得られます。同じ技能講習で四アルキル鉛等作業主任者の要件も満たします。
主な職務
職務は特化則27条に定められており、主なものは次のとおりです。
- 作業に従事する労働者が、物質に汚染されたり吸入したりしないよう、作業方法を決定して指揮する
- 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス・排液処理装置などを、1月を超えない期間ごとに点検する
- 保護具の使用状況を監視する
- タンク内部での作業では、必要な措置が講じられていることを確認する
作業主任者の氏名と職務は、作業場の見やすい場所に掲示して周知します。
建設・鉄骨工事での関わり
建設現場では、塗装、洗浄、接着、防水、解体、溶接などで化学物質を扱います。鉄骨工事や仮設鍛冶工事でも、溶接のヒュームや塗料・溶剤への対応が必要です。溶接ヒュームは近年の法令改正で特化則の対象になりました。対象となる物質や作業の範囲、選任の要否は、取り扱う物質ごとに法令で決まるため、SDS(安全データシート)と最新の規則で確認します。
現場では統括安全衛生責任者や職長と連携し、換気、保護具、作業手順を整えます。特別な管理が必要な作業では、安全管理計画にも反映します。
選任の考え方と現場運用の注意
作業主任者は、取扱い物質の区分(第1類〜第3類、特別有機溶剤など)や作業内容によって、選任が必要か否かが変わります。「化学物質を使うから自動的に必要」ではなく、対象物質と作業が規則に該当するかの確認が出発点です。また、作業主任者は資格を持つだけでなく、実際に作業現場で職務を行える立場にいる必要があります。
近年は化学物質管理が、法令で個別に規制する方式から、事業者自らがリスクアセスメントを行って管理する方式へと見直されています。そのため、作業主任者の職務を形だけにせず、換気設備の点検記録、保護具の適合確認、作業手順書の更新、労働者への教育を日常の運用に組み込むことが大切です。元請・下請が混在する現場では、使用する材料の情報を元請と共有し、同時作業でお互いの化学物質が影響し合わないよう調整します。技能講習の実施機関や受講要件は、厚生労働省や登録教習機関の案内で確認してください。
柴田工業の現場から
塗料や溶剤は材料を手配する段階でSDSを確認します。選任が必要な作業か先に確認しておくと、現場が止まりません。