
テルハ
Telpher (Monorail Hoist)
テルハとは
テルハとは、梁やレールに沿って走行するトロリにホイストを取り付け、荷を吊って水平方向に運ぶ設備です。もともとは英語の「telpher」に由来する呼び名で、現場や工場では、天井や架台に取り付けたI形鋼のレールに電動ホイストを吊るした簡易な搬送装置を指して使われます。レールの素材にはI形鋼やH形鋼が用いられることが多く、直線または曲線のレールに沿って荷が移動します。
走行範囲は主にレールの配置で決まります。レールが一本のため、天井クレーンのように広い面積を覆うことはできませんが、設置が比較的簡単で、決まった動線の搬送に向いています。
使われる場面
テルハは、鉄骨製作工場や加工場、資材置場、機械設備の保守エリアなどで使われます。たとえば、鋼材を切断機や溶接ラインへ運ぶ工程や、鉄骨工事で使う部材を加工場から搬出口まで運ぶ場面などです。人力による運搬を減らし、腰への負担や、挟まれ、転倒などの危険を軽くする効果があります。
建築現場では、仮設物として、小規模な荷揚げやピット内の搬出入のために設けられることもあります。ただし、仮設で設置する場合は、取付けるレールや支持架台の強度、アンカー部の耐力を、荷重条件に合わせて検討することが重要です。
法令上の扱いと安全管理
テルハは、法令上、特別な名称ではなく、構造や能力に応じてクレーンなどの区分に当てはまります。つり上げ荷重が0.5t以上のホイスト付きの装置は、クレーン等安全規則の適用対象です。つり上げ荷重に応じて、設置の届出、検査、運転者の資格、定期自主検査の実施が求められます。運転は、5t未満では特別教育を受けた者が行うことができ、5t以上は免許や技能講習が必要です。荷の玉掛けは玉掛け技能を持つ者が行い、つり上げ荷重1t未満では特別教育、1t以上では技能講習が必要です。
点検では、作業開始前にホイストの巻過ぎ防止装置、ブレーキ、フックの外れ止め、ワイヤロープまたはチェーンの損傷を確認します。定期自主検査は、1月以内ごと、1年以内ごとに実施します。レール端部のストッパー、支持部の緩みも定期的に確認します。
導入時と運用時の注意点
テルハを導入する際は、まず最大荷重を明確にし、レールとその支持構造が荷重に耐えるかを確認します。荷を吊ったときの衝撃や、走行や横行の停止時に生じる水平力も考慮します。建物の梁に取り付ける場合は、梁の許容耐力を確認し、必要に応じて補強を行います。設計や取付けには、構造に関する知見が欠かせません。
運用面では、定格荷重の表示を見やすい位置に掲示し、過荷重の使用を禁止します。吊り荷の下には立ち入らないことをルール化し、立入禁止区画や通路の区分を整えます。操作は、押しボタン式の操作スイッチで行うことが多いため、スイッチの配線や被覆の損傷、非常停止ボタンの動作も確認します。
そのほか、斜め引きや引きずり、荷の横引きは、ワイヤロープやホイストに無理な力を加え、故障や落下の原因になります。荷はできるだけ真上に位置させてから巻き上げることを徹底してください。点検結果は記録として残し、不具合があれば使用を中止して修理するという運用が、事故防止につながります。
柴田工業の現場から
テルハは手軽に見えますが、レールの支持強度や定期自主検査の記録を軽く見ると危険です。導入時に荷重条件を整理し、点検を仕組み化するようにしています。