
鉄骨在庫整理管理
Steel Stock Organization and Inventory Management
鉄骨在庫整理管理の概要
鉄骨在庫整理管理は、鉄骨製作工場から搬入された部材が、建設現場の限られたスペース内で、図面・部位ごとに正確に整理・保管され、必要な時期に適切な状態で建て方作業に供給されるよう管理する業務です。柴田工業のような鉄骨工事会社にとって、現場の効率性と品質確保に直結する重要なプロセスです。
大型ビル、複雑な形状の建築物では、数千点に及ぶ異なる部材が搬入されます。これらを層別、部位別に整理し、搬出計画に従って段階的に吊り上げることが、建て方工事のスケジュール遵守と安全施工を実現させます。
在庫管理の主要な項目と方法
- 搬入受け入れ:搬入到着時に、鋼管輸入確認の要領で、梱包状態、部材数、製作図との照合を行い、搬入実績表に記録
- 保管場所の割り当て:図面に基づく部材分類(1階柱、1階梁、2階柱など)ごとに保管エリアを決定。同一部材は同一箇所に積み上げることで、搬出時の手戻りを防止
- カード・表示管理:各保管位置に部材番号、使用予定階、重量、吊り上げ可能なリフティングルグ位置などを記載したプレートを立てる
- 在庫数量の確認:定期的(週1回程度)に保管部材の数量をチェック。製作工場の出荷実績と照合し、不足部材の早期発見
- 搬出計画の作成:建て方工程表に基づき、必要な時期に必要な部材を決定。建設ロジスティクス計画に組み込む
- 損傷・劣化管理:錆、変形、塗装剥がれなど、品質低下を防ぐため、定期的な目視検査と、必要に応じた防錆措置(シート被覆、補修塗装)を実施
現場での実装と工夫
多くの鉄骨工事現場では、在庫管理を担当する専任者(材料係、積荷係)を配置し、朝礼で本日の搬出予定部材を指示します。この情報は、鉄骨組立管理の玉掛け職人、クレーン運転士にも共有され、吊り上げ順序の効率化につながります。
在庫表は手書きから電子化へ移行する傾向もあります。BIMモデルに基づき、3Dで保管位置を可視化し、スマートフォンから検索可能にすることで、現場での迷いや手戻りを大幅に削減する事例も増えています。
品質確保との連動
在庫整理管理は、単なる「ストック管理」ではなく、品質確保の一環です。搬入時の受け入れ検査では、運搬品確認として、部材の外観・寸法を確認します。保管中の定期検査では、錆が進行していないか、塗装が剥がれていないかなどを確認し、必要に応じた補修を指示します。
また、搬出された部材が建て方現場で不適合(部材番号が違う、寸法が違うなど)と判明した場合、その原因が在庫管理の誤りか、製作工場の誤りか、運搬時の損傷か、を素早く特定することが重要です。このため、部材ごとのトレーサビリティ(製作工場ロット番号、搬入日時、保管位置、搬出日時)を記録し、後の問題解決に活用できる体制を整えることが、柴田工業の品質方針として徹底されています。
在庫管理システムの高度化と課題
従来、鉄骨在庫管理は現場の積荷係による目視・手書き記録が中心でした。しかし、大型複合施設では百階建て以上の規模、数万点の部材搬入が見込まれることから、QRコード、バーコード、RFIDタグを活用した自動認識システムの導入が進んでいます。
これらのシステムでは、搬入時にQRコードを読み込むことで、部材データ、製作工場、出荷日、内容量が自動的に在庫DBに登録されます。搬出時に再度読み込むことで、在庫数が自動減算され、出荷誤りや二重搬出が防止されます。さらに、BIMモデルとの連携により、建て方ロボティクスや自動玉掛けシステムへの指示データとしても活用できます。
ただし、現場のネットワーク環境の不備、バッテリー管理の手間、タグ装着コストなど、導入には課題も多いため、現在のところ大型案件に限定されています。柴田工業では、小~中規模工事では実績のある手書き+定期確認方式を維持しつつ、大型案件では先端システムの導入を検討する段階的なアプローチを取っています。
柴田工業の現場から
在庫管理がしっかりしていないと、建て方のときに『あ、この部材がない』ってことになって、全体の工程が狂います。現場の積荷係が毎日きちんと数を数えて、日報を上げる—これが地味だけど、工事成功の鍵なんです。