鉄骨保存管理に関する建設現場イメージ
Steel Material Storage and Preservation Management

鉄骨保存管理

Steel Material Storage and Preservation Management

管理の5本柱
てっこうほぞんかんり

鉄骨保存管理とは

鉄骨保存管理とは、鉄骨製作図に基づいて工場で製作された鉄骨材料が、現場到着から建て上げ完了まで品質と形状を損なわないよう、保管環境の管理、防錆処置、変形防止、ドキュメント管理を総合的に実施する施工管理業務です。

鉄骨は気象条件に敏感であり、長期保管中の表面錆発生や形状変化は施工品質管理に直結します。特に仮設鍛冶工事が関わる鉄骨加工品や溶接組立体は環境対策が重要です。

保存管理の主要業務

鉄骨保存管理には以下の複数の業務が含まれます。

  • 搬入受け入れ:数量確認、目視検査、寸法確認、付属品確認を実施し、鉄骨在庫確認報告書を作成
  • 保管場所選定:屋内保管または屋外の防水シート掛けなど、品質維持に適した環境を確保
  • 防錆処置:新品時の工場防錆コート維持、必要に応じた補足防錆処置の実施
  • 積み上げ管理:変形防止のため正しい積み方、支持ポイント確保、荷重配分を遵守
  • 識別管理:部材にマーキングし、納期・工程に応じた出庫順序を管理
  • 在庫把握:部材の所在把握、進捗管理、紛失防止に資する記録を維持

保管環境基準

鉄骨の品質維持には適切な保管環境が必須です。標準的な基準は以下の通りです。

  • 屋内保管:最優先。相対湿度60%以下、温度変化の少ない環境が理想的。高湿度地域では除湿機の設置も検討
  • 屋外保管の場合:防水シート(厚さ0.1mm以上推奨)で全面を覆い、風による剥がれを防止。地面との間に通気スペース確保
  • 床面対策:地面直置きを避け、木製パレットや鋼製ラックで浮かす。積層時は垂木で層間隔を確保
  • 排水管理:水たまりが生じないよう敷地勾配確認、簡易排水溝の設置

防錆・防水対策の実務

工場出荷時の鉄骨には通常、防錆塗装(プライマーまたは防錆油)が施されています。この保護機能を損傷させないことが重要です。

  • 鋼材の錆分類:A種(防錆塗装あり)、B種(防錆油のみ)がJIS規格で定義され、保管方法が異なります
  • 塗装損傷の修復:搬入時や保管中に塗装が剥がれた場合、錆止め塗装を現場で速やかに施工
  • 溶接部の処置組立溶接部は無塗装状態のため、特に錆の進行が早い。防錆スプレーやシート掛けで対応
  • シート管理:防水シートの裏側結露を防ぐため、換気口を設ける工夫が有効

仮設鍛冶工事における特有の保存管理課題

仮設鍛冶工事由来の鉄骨加工品や組立体は、一般的な鉄骨材よりも複雑な保存管理を要求します。

複合部材の保管鉄骨仮設工事設計に基づく仮設支保工や支持鋼材は、組立溶接済みの状態で搬入されることが多く、溶接部全体の防錆処置が必要です。特に交差部や隅角部は錆が進行しやすいため、細目な点検と補足処置が重要です。

形状保持の課題:長尺材や板厚の小さい部材は長期保管中の反りやたわみが発生しやすく、支持ポイントの最適化が求められます。支えの角度や本数一つで形状が変わるため、設計図面に基づいた正確な積み方が施工管理の知識として必要です。

識別・トレーサビリティー:複数工事の鉄骨が混在する現場では、部材の移動・返却・転用があり得るため、QRコードやシリアルナンバーによる追跡管理が効果的です。鉄骨在庫管理システムと連携させることで、紛失リスクと工程遅延を大幅に軽減できます。

保管環境基準
屋内保管優先、相対湿度60%以下、屋外時は防水シート完全覆い
防錆処置
工場塗装・防錆油の維持が基本。損傷部は速やかに錆止め塗装で補修
仮設工事特有
組立溶接部の防錆、複合部材の形状保持、トレーサビリティー管理が重要

柴田工業の現場から

石堂 洋三
石堂 洋三 現場管理・積算・調達

鉄骨保存管理は単なる在庫保管ではなく、品質と工程を守る要の作業です。特に仮設工事の組立品は複合部材が多く、変形や錆が発生すると建て上げ時に修正が困難になります。前工程での丁寧な保管が、後工程のコスト削減と工期短縮に直結することを現場全体で理解させる必要があります。

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