
折板葺
Folded Plate Roofing (Metal Deck Roofing)
折板葺とは
折板葺(おりいたぶき)は、薄い鋼板を台形状(山と谷が連続する形)に折り曲げて成形した「折板」を、屋根の下地に固定して葺く金属屋根工法です。折板自体に剛性があるため、野地板を全面に張らなくても比較的長いスパンを渡せます。軽量で工期が短く、材料費も抑えやすいため、工場、倉庫、体育館、駐車場、機械室などの鉄骨造建物で広く採用されています。
折板の素材には、溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板(JIS G 3321、いわゆるガルバリウム鋼板)や溶融亜鉛めっき鋼板(JIS G 3302)にカラー塗装を施したものが多く使われます。建築工事の区分では金属工事の屋根工事にあたりますが、実際の取付け下地は鉄骨工事と密接に関係します。
折板の種類と構成
折板は固定方法の違いで、大きく次の3種類に分けられます。
- 重ね形:折板の端部の山を重ね合わせ、ボルトとナットで締結しながらタイトフレームに固定する。最も一般的。
- はぜ締め形:隣り合う折板のはぜ(折返し部)を専用の締付け機でかしめて連結する。屋根面にボルト頭が出ない。
- かん合形(嵌合形):吊子(つりこ)に折板をはめ込んで固定する。固定部が表に現れない。
折板を受ける下地は「タイトフレーム」と呼ばれる山形の受け金物です。タイトフレームは、梁や母屋の上に取り付けます。山の高さや板厚は製品ごとに異なり、スパンや積雪・風圧などの荷重条件に応じて、メーカーの許容スパン表から選定します。数値は製品ごとに違うので、必ず設計図書とメーカー資料で確認してください。
施工の流れと納まり
一般的な施工の流れは次のとおりです。
- 墨出しでタイトフレームの位置を決める
- タイトフレームを取り付け、鉄骨に溶接または専用金物で固定する
- 溶接部の錆止め塗装や、めっき面の補修を行う
- 折板を下から順に葺き上げ、固定ボルトや吊子で留める
- けらば包み、棟包み、軒先の水切りなどの役物を取り付ける
- 重ね部・端部にシーリングを施し、清掃して検査する
雨漏りの多くは、ボルト貫通部、折板の重ね部、端部の役物まわりで起こります。そのため、シーリングの充填、ボルトのシール付きワッシャー、水上側から水下側への葺き順の管理が品質を左右します。目地部の考え方は目地の項も参照してください。また、折板は温度変化で伸縮するので、長尺ものでは固定部の動きを考慮した納まりが求められます。
屋根上作業の安全
折板葺は高所の屋根上で行う作業で、墜落・転落災害のリスクが高い工種です。労働安全衛生規則第518条では、高さ2m以上の箇所で作業を行う場合に、作業床の設置が困難なときは防網を張り、墜落制止用器具を使用させるなどの措置を求めています。足場や手すり先行工法、親綱・安全ブロックの設置を計画段階で決めておきましょう。強風や大雨のときは作業を中止します(同規則第522条)。一般に10分間の平均風速が毎秒10m以上を強風の目安とします。詳細は安全管理の項も参照してください。
タイトフレーム取付けと鉄骨精度の関係
折板葺の品質は、実は葺く前の下地の段階でほぼ決まります。タイトフレームは梁や母屋の上に載るため、鉄骨の梁天端のレベルや通りに狂いがあると、折板の山の高さや屋根面の平滑さに影響します。屋根面の波打ちや水勾配の不良は、水たまりや雨漏りの原因になります。
鉄骨側では、建方後の梁レベルの確認、仕上げ精度を意識した鉄骨組立て精度管理が前提となります。折板業者と鉄骨業者で、タイトフレームの取付け位置、溶接の要否、溶接長さ、めっき補修の範囲を事前に擦り合わせておくと手戻りを防げます。
施工図の段階で、屋根伏図に折板の割付け、タイトフレームの間隔、棟・けらば・軒先の納まり、屋根貫通物(排気ファン、トップライト、配管)の位置を落とし込みます。貫通部まわりの下地補強は後付けが難しいので、早めに調整してください。
柴田工業の現場から
折板屋根は鉄骨の梁の上に載るので、梁天端の高さが数ミリ違うだけでも屋根の見え方が変わります。タイトフレームの位置と溶接の範囲は、折板屋さんと着工前に必ず打合せしています。