
事故由来廃棄物等処分業務従事者
Worker Engaged in Disposal of Accident-Derived Waste
事故由来廃棄物等処分業務従事者とは
2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故では、大量の放射性物質が環境中に放出され、土壌や廃棄物が汚染されました。こうした「事故由来放射性物質により汚染された廃棄物」などを収集・運搬・保管・処分する業務を、労働安全衛生関係法令では「事故由来廃棄物等処分業務」と呼び、この業務に従事する労働者の放射線障害を防止するための規制が設けられています。
この規制は、除染作業を対象とした「除染電離則」(東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則)の枠組みで整備されてきました。なお、法令の名称や構成は改正されることがあるため、実際の適用にあたっては最新の条文と厚生労働省の通達を確認してください。
事業者に求められる主な措置
この業務に労働者を従事させる事業者には、概ね次のような措置が求められます。
- 放射線量の測定と、被ばく線量の管理・記録
- 作業者への特別教育(関連する法令の知識、被ばく防止の方法、機器の取り扱いなど)の実施
- 汚染の拡大を防ぐための保護具の着用と、作業後のスクリーニング(汚染検査)
- 健康診断など、労働者の健康管理
特別教育の科目や時間は規則に定められており、修了者が「従事者」として業務に就く形になります。技能講習による国家資格ではなく、事業者が実施する特別教育である点が、作業主任者などとの違いです。
建設業・鉄骨工事との関わり
事故由来廃棄物の処分業務は、主に福島県をはじめとする被災地域の特定の工事に関わるもので、一般的な首都圏の鉄骨工事や仮設鍛冶工事で必要になることはまれです。ただし、被災地での仮設施設・処理施設の整備や、解体・撤去工事に関連する仮設物の設置では、元請の施工管理の下で放射線管理区分や教育の要否が示されることがあります。
こうした現場では、建設副産物の扱いと同様に、搬出入の区分や記録が重要です。教育を受けていない作業者を現場に入れないよう、教育・許可・資格管理の仕組みで確認することが基本です。
特別教育と技能講習の違い
労働安全衛生法には、危険・有害な業務について事業者が行うべき「特別教育」と、都道府県労働局長登録の機関が行う「技能講習」があります。事故由来廃棄物等処分業務は前者の枠組みで、教育を修了させたうえで業務に就かせる必要があります。
現場の管理者が押さえるべきは、教育修了の証明を作業員ごとに保管し、入場時に確認することです。また放射線量の記録は、作業者本人の健康管理にも関わるため、元請・下請間で記録の受け渡しルールを事前に決めておくことが望まれます。詳細な線量基準などは、必ず厚生労働省の最新資料で確認してください。
柴田工業の現場から
普段の鉄骨現場では縁が薄い資格ですが、被災地関連の案件では入場条件になることがあります。見積り段階で教育費用や線量管理の手間を確認しておくのが肝心です。