
ファスナー
Fastener
ファスナーとは
建築の分野でファスナーとは、広くはボルトやナットなどの締結部品を指しますが、外装工事では、カーテンウォールやALCパネル、金属パネルなどを建物の躯体に取り付けるための金物を指します。パネルの自重や風圧力を躯体に伝えるとともに、地震時の層間変位や温度変化による伸縮を吸収する役割を担います。
材質はステンレス、溶融亜鉛めっきを施した鋼材、アルミなどが用いられ、設置される環境に応じて耐食性を考慮して選定します。鋼材の場合は溶融亜鉛めっきが代表的な防錆処理です。
構造と調整機構
ファスナーは、躯体側に取り付ける部材と、パネル側の部材をボルトで接続する構成が一般的です。現場では躯体やパネルの寸法にどうしても誤差が出るため、長穴(ルーズホール)や調整ボルトなどで、上下・左右・前後の三方向に調整できる構造にします。
固定方法は、パネルの動きを許す設計によって、固定点(自重を受ける)と可動点(変位を逃がす)に分けます。たとえば、上下のどちらか一方で荷重を受け、もう一方は水平力のみを受けるようにします。この考え方を現場で取り違えると、本来逃げるべき動きが拘束されて破損の原因になります。
取付け下地との関係と施工の留意点
ファスナーを取り付ける躯体側の受け材は、鉄骨工事の段階で取り付ける場合が多くあります。受け材の位置は墨出しを基準に決め、施工図で外装工事側と整合を取ります。コンクリート躯体に取り付ける場合は、埋込みプレートや後施工アンカーを使います。
ボルトの締付けは、規定のトルクで行い、締付け後にマーキングなどで確認します。溶接部があれば溶接後の防錆処理が必要です。これらの確認は品質管理の記録として残します。
調整代を使い切らないための考え方
ファスナーの調整機構は、躯体の施工誤差を吸収するために用意されていますが、調整代には限りがあります。躯体側の取付け位置が大きくずれていると、パネルを取り付ける段階でほとんど調整代が残らないことがあります。そのため、躯体側の受け材を取り付けた段階で実測し、設計値との差を早期に把握しておくことが有効です。差が大きい場合は、パネルを取り付ける前に受け材の位置を修正したり、追加のプレートで補ったりします。後から修正するほど手間も費用も増えるため、先行工事で精度を確保しておくことが、結果的に工程と品質の両面で効果的です。
柴田工業の現場から
ファスナーは小さな部品ですが、取付け位置の誤差は後工程に響きます。受け材の段階で実測して、早めに調整するのが一番安く済みます。