ボルト転身管理に関する建設現場イメージ
Bolt Rotation Management

ボルト転身管理

Bolt Rotation Management

管理の5本柱
ぼるとてんしんかんり

ボルト転身管理の定義と目的

ボルト転身管理とは、鉄骨接合部の高力ボルト締付け作業において、各ボルトの回転回数(転身数)とトルク値を記録・管理し、設計図書で定められた締付け状態が確実に達成されたことを証明する品質管理手法です。鉄骨工事では「溶接管理」と並んで、接合部品質確保の最重要項目となります。

高力ボルト接合は、鉄骨同士を機械的に圧接する方式で、溶接に比べて騒音が少なく、現場での調整が容易です。しかし、締付け不足は接合部のすべりや緩みを招き、下部構造への応力伝達が不完全になります。逆に過度な締付けはボルトの破断リスクを高めるため、「適切な力で、正確に、記録する」というプロセスが不可欠です。

高力ボルトと締付け方法の基礎

高力ボルトの規格:日本工業規格(JIS B 1186)で定められた強度等級10.9、11.9などのボルトが使用されます。「高速ボルト東方仕組み」などの施工方法が、鉄骨接合標準として定められています。

締付け方法の種類:主流は「トルク管理」と「ナット回転法」の2手法です。トルク管理は電動トルクレンチで所定トルク値に達するまで締付け、ナット回転法は下地板に接触後、さらに規定回数(通常1~1.5回転)ナットを回転させます。どちらも「施工管理日誌」に記録されます。

転身管理の実施手順

事前準備:施工図で締付け位置・ボルト種別(M22 F10T等)・所定トルク値を確認し、作業チーム全員で共有します。「施工計画書」に管理基準が明記され、トルクレンチの定期検査証が揃っていることを確認します。

ボルト挿入と仮締付け:孔にボルト・ワッシャ・ナットを挿入し、手やスパナで軽く仮締付けします。この段階では部材同士の密接を目的とするため、本締付けまでは力をかけません。

本締付けと記録:トルクレンチを使用して所定トルク値(例えばM22ボルトで1000N·m)に達するまで締付けます。ナット回転法の場合は、ボルト頭がスパナで保持され、ナットが規定回数(例1.5回転)回転したことを確認します。同時に、ボルト位置・回転回数・最終トルク値を「溶接管理技士」が監視し、記録用紙に記載します。

検査と承認:締付け完了後、「品質検査」の一環として、サンプルボルトに対してトルク制御法による逆転テストを実施し、初期締付けが正確であったことを確認します。

管理記録と記帳方式

ボルト転身管理の記録は、接合部ごとにボルト配置図を示し、各ボルトの回転回数・トルク値をマトリックス形式で記載するのが標準です。例えば「2階梁主ビーム南側:M22 F10T ボルト24本、すべて1.5回転で本締付け完了、検査合格」といった記述となります。

これらの記録は竣工後も重要で、建物のメンテナンスや耐震改修時に、当初の接合状態を検証する基礎データとなります。「施工図検証」や「工程管理」との整合性も併せて確認されます。

法令根拠と技術基準

高力ボルト接合の基準は「建築鋼構造設計指針」(日本建築学会)、「鋼構造接合設計指針」などに記載されます。労働安全衛生法の観点からも、ボルト締付け作業は「安全標語」の対象となり、正確な施工と記録が求められます。

トルク値の決定と環境因子の影響

所定トルク値は、ボルト径・強度等級・使用条件により決定されます。JIS B 1186では、各規格ボルトの推奨トルク値が表示されていますが、実際の施工では気温・湿度・表面処理(メッキの厚さ等)が摩擦係数に影響し、同じ回転でも実トルクが変動する場合があります。そのため、気象条件が大きく変わる季節の変わり目には、サンプルボルトで逆転テストを行い、トルク値の再調整が必要になることがあります。北海道など寒冷地の冬季施工では、ボルト部材が冷却され摩擦特性が変化するため、施工計画段階で温度補正値を設定することが標準慣行です。

複数階施工時の管理体制

高層建築では、下階の接合がすべて完了してから上階の建て方を進めることが一般的です。このため、先行階の接合部に対して「トルク制御法」による抜き取り検査(例えば5~10%)を定期的に実施し、緩みが生じていないことを確認します。緩みが検出された場合は、当該階全ボルトの再点検と補締付けが必要になるため、施工進度に大きな影響を与えます。この管理は「施工管理技士」と「溶接管理技士」が共同で実施することが慣例です。

記録の必須項目
ボルト位置・径・強度等級・施工日・回転回数・最終トルク値・検査結果を記載
検査方法
施工完了後、トルク制御法による逆転テストで初期締付けの適切性を確認
環境補正
季節・気象条件による摩擦係数変化を考慮し、必要に応じてトルク値を再調整

柴田工業の現場から

佐藤世人
佐藤世人 工事部

ボルト転身管理は地味な作業ですが、記録が不正確だと後々監査で指摘されます。記録用紙は施工当日に責任者が確認して署名することで、『これはしっかり施工した』という証明になります。手間を惜しまず、正確に記録することが現場信頼につながると思っています。

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