溶接試験管理に関する建設現場イメージ
Welding Test Management

溶接試験管理

Welding Test Management

管理の5本柱
ようせつじっけんかんり

溶接試験管理の概要

溶接試験管理とは、鉄骨工事における溶接品質を確保するため、本溶接に先立ち実施される試験溶接と、その後の検査・評価を統合的に管理する業務です。JIS溶接基準やJASS基準に準拠し、溶接技術者の技量確認、溶接機械の性能検証、溶接材料の適切性確認を行い、実際の施工現場での溶接品質を事前に保証します。

鉄骨工事の品質を左右する最重要管理項目の一つであり、溶接管理技士による厳密な管理が求められます。

溶接試験の種類と実施手順

溶接試験には、以下の種類があります。

(1)溶接技能試験(WTCS試験)

新たに配置される溶接職人の技能資格を確認するため、実際の溶接作業と同じ条件下での試験溶接を実施します。試験対象は、使用する溶接姿勢被覆アーク溶接等の溶接方法ごとに実施され、合格者のみが本溶接に従事します。

(2)溶接機械性能試験

現場で使用する溶接機器(直流電源、交流電源、半自動溶接機等)の性能確認を行います。電圧・電流、ワイヤ送給速度等のパラメータを計測し、設定値が正確に出力されているか確認します。

(3)溶接材料適切性試験

使用予定の溶接ワイヤ・溶接棒が、対象となる鋼材(鋼種、厚さ)に適合するか確認するため、試験溶接を実施し、機械試験(引張試験、曲げ試験等)で品質評価を行います。

(4)溶接施工条件試験

複数の溶接条件(開先形状、予熱温度、溶接速度等)組み合わせを試験し、最適な施工条件を確定します。

試験溶接の実施プロセス

溶接試験は以下の流れで進められます。

(1)試験計画の作成:対象となる溶接部位、溶接方法、試験項目を整理し、試験計画書を作成

(2)試験サンプルの準備:実際の工事と同じ鋼材(鋼種・厚さ)を調達し、試験溶接用サンプルを準備

(3)試験溶接実施:溶接管理技士立会いのもと、実際の工事と同じ条件で試験溶接を実施。溶接姿勢管理溶接条件管理を厳密に管理

(4)外観検査:溶接傷定着管理基準に基づき、溶接ビード表面の状況(波状、気孔、割れの有無)を確認

(5)機械試験:試験溶接サンプルから試験片を採取し、以下の試験を実施:

  • 引張試験:溶接部の最大引張応力が規格基準以上であるか確認
  • 曲げ試験:溶接部の延伸性・靭性が十分であるか確認
  • 超音波探傷試験UT検査により、内部欠陥の有無を確認
  • マクロ検査:溶接部の組織状況(ボンドライン、ビード形状)を確認

(6)試験成績書の作成:試験結果をまとめた溶接傷把握・成績書を作成し、本溶接実施の判断根拠とする

本溶接への移行と品質維持

試験溶接が合格後も、本溶接期間中は定期的に溶接ショットクを確認し、当初の試験条件が維持されているか確認します。環境変化(気温低下)や材料ロット変更等により、溶接品質が変動することがあるため、溶接管理技士は継続的な監視を行い、不適合が生じた場合は直ちに再試験を実施します。

JIS基準に基づく試験基準と判定方法

JIS Z 3801は、被覆アーク溶接による溶接試験の基準を規定しており、以下の要件を満たす必要があります:(1)引張試験:溶接部の引張応力が母材の90%以上であること(例:SM490鋼の場合、345N/mm²以上)。(2)曲げ試験:180°曲げで亀裂長さが5mm以下であること。(3)外観検査:ビード幅30mm以上、アンダーカットが0.5mm以下、気孔や割れがないこと。試験合格後、本溶接中は5~10工程ごとに追試験(簡易試験)を実施し、劣化の有無を監視します。これにより、JASS 6鋼構造工事標準で要求される「溶接品質の継続的確保」を実現します。

試験対象
技能・機械性能・材料適切性・施工条件。複数項目の総合評価
検査内容
外観検査、引張試験、曲げ試験、UT探傷、マクロ検査
基準
JIS Z 3801、JASS 6に準拠。不合格の場合は再試験

柴田工業の現場から

佐藤世人
佐藤世人 工事部

溶接試験は本当に大事な作業です。ここで手を抜くと、後で大きな品質問題に繋がる。試験溶接の時点で、溶接職人の技術レベルと機械の性能をきっちり確認することで、本工事での安心が得られます。毎回、試験成績書をしっかり保管して、記録に残しています。

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