
ウインチ
Winch
ウインチとは
ウインチとは、ドラムにワイヤロープなどを巻き取ることで、荷の引き寄せ、巻上げ、巻下げを行う機械です。動力は電動、油圧、エンジン、手動などがあり、建設現場では小型の電動ウインチが多く使われます。構造は、動力部、減速機、ドラム、ブレーキ、操作部で構成されます。ブレーキは荷を保持するために重要な装置で、停止時に荷が下がらないことが求められます。
似た機械にクレーンやチェーンブロック、レバーブロックがあります。クレーンは荷を吊って水平移動させる機械ですが、ウインチは基本的にワイヤロープを巻き取る機能に特化しており、設置場所を固定して使います。クレーンの設置が難しい場所の材料の荷揚げや、斜面や開口部での引込みなどに使われます。
鉄骨・仮設工事での使われ方
仮設鍛冶工事や鉄骨工事では、材料や小型部材の荷揚げ、狭い場所への資材の引込み、建て入れ直しで鉄骨を引いて調整する作業などで使用されることがあります。仮設の荷揚げ設備として使う場合は、仮設荷上げ設備の管理の項目に示すような、設置位置の強度確認、固定方法、荷重の管理が欠かせません。
荷を掛けるときは、玉掛け技能を持つ者が、荷の重量と重心を確認して適切なワイヤロープ、シャックル、スリングを選びます。ウインチ本体の定格荷重は荷重に余裕を持たせて選びます。ウインチの固定部やアンカーは、引張力に耐えるものを使います。固定にはアンカーボルトや鉄骨本体への取付けなどがあり、取付け先の強度を確認してから使用します。
安全管理と点検
動力で駆動する巻上げ機(電気ホイストなどを除く)の運転業務には、特別教育の修了が必要とされています。玉掛けを行う場合は、吊り上げ荷重に応じた資格(技能講習等)が必要です。ウインチの運転者と玉掛け者の合図は、事前に決めた方法で統一し、誰が合図するかを明確にします。
ワイヤロープの管理も重要です。クレーン等安全規則の玉掛け用ワイヤロープの基準では、安全係数は6以上とされています。また、使用できないワイヤロープとして、1よりの間で素線の10%以上が切断しているもの、直径の減少が公称径の7%を超えるもの、キンクしたもの、著しい形くずれや腐食があるものが定められています。これらは巻上げ用ワイヤロープの点検でも参考になる基準です。作業前には、ブレーキの作動、ドラムへのロープの整列、非常停止の作動、取付け部のゆるみを点検します。
人を荷と一緒に乗せたり、吊り荷の下に立ち入ったりしてはいけません。作業範囲は立入禁止措置を取り、安全管理の一環として、KY活動で荷の重量、経路、合図者を確認しておきます。
ワイヤロープの寿命とドラムへの巻き方
ウインチの安全は、ワイヤロープの状態に大きく左右されます。ワイヤロープは、使用するうちに素線の摩耗や疲労、腐食が進みます。外観では、素線切れの数、直径の減少、キンク、潰れ、錆などをチェックします。特にドラムやシーブ(滑車)に接する部分は曲げの繰り返しで傷みやすいため、重点的に確認します。
ドラムへの巻き方も大事です。ロープが乱れて巻かれる(乱巻き)と、ロープが食い込んで傷む原因になります。巻取りの際は、張力をかけながら整列させるようにします。荷を下ろしきったときにも、ドラムにロープが規定の巻数以上残るように使います。固定部の耐力を超える荷重がかからないよう、斜め引きによる荷重増加も考慮しておきます。傾斜面を引く場合は、荷重に傾斜による分力が加わるため、定格荷重に十分な余裕を持たせて選定します。
柴田工業の現場から
ウインチは荷を引く力が大きいぶん、固定する側の強度を見落としがちです。引く側だけでなく、受ける側の取付け部がもつかを必ず確認してから使うようにしています。