
打継ぎ
Construction Joint (Concrete Placement Joint)
打継ぎとは
打継ぎとは、コンクリートの打設を一旦止め、先に打ったコンクリートが硬化した後に、続きを打ち足すことです。また、その結果できる継目(打継ぎ目、打継ぎ面)のことも指します。建物全体を一度に打つのは、生コンの供給量や作業時間の面で現実的ではありません。そのため、柱や壁は階ごと、スラブは区画ごとなど、施工上やむを得ない区切りで打継ぎを設けます。
よく似た言葉に「打重ね」があります。打重ねは、先に打ったコンクリートがまだ固まらないうちに次を打ち足すことで、振動締固めによって上下が一体化します。これに対して打継ぎは、時間を空けて打つことで、継目が残ります。したがって、打継ぎでは位置の選定と面処理が品質の鍵を握ります。予定外に時間が空いて一体化しなかったものはコールドジョイントと呼ばれる欠陥です。
打継ぎ位置の考え方
打継ぎ位置は、構造耐力への影響が小さく、止水や仕上げの面でも不利になりにくい場所に、あらかじめ決めておくのが原則です。日本建築学会のJASS 5などで示される一般的な考え方は、次のとおりです。
- 梁・スラブの鉛直打継ぎ:せん断力の小さいスパン中央付近に設ける。
- 柱・壁の水平打継ぎ:スラブや梁の上端、または下端など、階の区切りとなる位置に設ける。
- 片持ちスラブや庇:打継ぎを設けず、取り付く構造体と一体で打つ。
具体的な位置は、構造設計者が設計図書で示すか、施工計画書で定めて承認を受けます。現場の都合で勝手に位置を変更してはいけません。打継ぎ位置は施工計画書や打設計画図に記載し、型枠の割付けや配筋とも整合させておきます。
打継ぎ面の処理
打継ぎ面の処理が不十分だと、先打ちと後打ちが一体化せず、強度低下や漏水の原因になります。一般的な処理の流れは次のとおりです。
- 先に打ったコンクリート表面の、レイタンス(表面に浮き出る弱い膜状の層)や、脆弱なコンクリート、浮き石を除去する。
- 表面を清掃し、ゴミや油分を取り除く。
- 打設前に散水して表面を湿潤にし、水たまりは取り除く。
- 必要に応じて、せん断力を伝えるためのシアキー(凹凸)を設ける。
地下外壁や水槽など水密性が求められる部位では、止水板を打継ぎ部に配置する方法や、施工目地防水工で止水する方法が採られます。また、型枠まわりでは、打継ぎ部からのノロ漏れや段差を防ぐため、型枠を堅固に固定し、先打ちとの取合いを密着させます。再打設前には、配筋の位置や、打継ぎ面から出る鉄筋・鉄骨柱脚まわりの状態も確認しておきます。
鉄骨造の現場で出会う打継ぎ
鉄骨造の現場でも、打継ぎの場面は少なくありません。たとえば、鉄骨柱の根巻きコンクリートや基礎立上り、地下階の外壁、そしてデッキプレートを用いたスラブの区画割りなどです。鉄骨梁の上のスラブを数回に分けて打つ場合、区画の境目に打継ぎが生じます。この位置は、鉄骨梁の配置やスタッドの配列、デッキの割付けと合わせて決めておく必要があります。
注意したいのは、打継ぎ面付近にアンカーボルトや柱脚のベースプレートがある場合です。先打ちコンクリートの表面高さや、鉄骨建方の精度との兼ね合いで、打継ぎの高さや処理の手順が変わります。また、表面をはつる作業が、鉄骨や鉄筋、仮設材を傷める恐れもあります。養生や保護の手順を、はつりの前に決めておきます。
打継ぎは「やむを得ず設けるもの」ですが、計画して丁寧に処理すれば、構造上問題のない継目になります。逆に、段取りの悪さから、処理をせずに打ち継いでしまうと、欠陥につながります。打設前の打合せで、位置、時間、面処理の担当と手順を決めておくことが、品質確保につながります。
柴田工業の現場から
打継ぎは、位置を決めておくこと、面処理の段取りを組んでおくことが大切です。はつりや清掃に手間がかかる分、工程にも人員にも余裕を見ておく必要があります。柱脚まわりでは鉄骨の傷付き防止の養生も忘れずに、とよく伝えています。