
コールドジョイント
Cold Joint
コールドジョイントとは
コールドジョイントとは、コンクリートを打ち重ねる際に、先に打ち込んだコンクリートが固まり始めてしまい、後から打ったコンクリートと完全に一体化せずにできる不連続な面(継目)のことです。計画的に設ける打継ぎとは違い、施工上の不手際や不測の中断で生じる欠陥です。表面に線状の筋として現れることが多く、見た目の問題にとどまらず、品質上の問題にもなります。
コールドジョイントがあると、その面で水が通りやすくなり、水密性が低下します。雨水や空気が侵入すると鉄筋や鉄骨の腐食を招きます。また、構造的な一体性も損なわれ、せん断力や曲げに対する性能が低下するおそれがあります。外壁や地下壁では漏水の原因にもなります。
発生する原因
最大の原因は、打重ね時間間隔が長くなりすぎることです。具体的には、次のような場面で起こりやすくなります。
- 生コン車の到着間隔が空いた(渋滞、工場の出荷遅れ、台数不足)。
- ポンプ車の故障や配管閉塞で、打設が中断した。
- 打設計画が不十分で、人員や打設順序、打設速度が現場に合っていなかった。
- 夏季の高温や強い日射、風でコンクリートの硬化が早まった。
- 鉄筋や鉄骨が混み合う部位で、締固めに時間がかかった。
鉄骨造では、デッキプレート上のスラブ打設で、梁まわりやスタッド溶接が密集する部分、梁の貫通部まわりなどが注意箇所です。打設面積が広く、打設順序を誤ると、先に打った部分が固まりかけたところへ後から打ち足すことになりかねません。
防止策と対処
防止の基本は、打重ね時間間隔を守ることです。日本建築学会のJASS 5では、許容される打重ね時間間隔の標準として、外気温が25℃未満で150分、25℃以上で120分が示されています。これは先に打った層の打込み開始から、次の層を打ち重ねるまでの時間の目安です。仕様書や気象条件により異なることがあるため、実際には設計図書や特記仕様書の指定に従います。
打ち重ねる際は、棒形振動機を下層に10cm程度挿入して、上下の層を一体化させます(コンクリート振動締固め)。また、事前の準備として次の対策が有効です。
- 打設区画、打設順序、打設速度、人員配置を打設計画に定める。
- 生コン工場と出荷間隔を事前に調整する。ポンプ車の予備や、故障時の連絡体制を決めておく。
- 高温時は、遅延形の混和剤や、コンクリート温度の管理を検討する。
万一、固まり始めて打重ねが難しいと判断した場合は、無理に打ち足さず、その位置を打継ぎとして処理する方法があります。処理の方法は、監督職員や設計者と協議して決めます。発生後に見つかった場合も、樹脂注入やUカット充填などの補修が必要かどうか、同様に協議して判断します。
「打重ね」と「打継ぎ」の境目
現場でよく混同されるのが、打重ね、打継ぎ、コールドジョイントの違いです。打重ねは、先に打ったコンクリートがまだ固まらないうちに、次のコンクリートを打ち足すことです。振動締固めで上下の層が一体化するため、継目は残りません。打継ぎは、計画的に時間を空けて打つことで、位置や処理方法を事前に定めます。一方、コールドジョイントは、打重ねのつもりが、時間が空きすぎて打継ぎのような状態になってしまったものです。処理のされていない打継ぎ面ともいえます。
この違いから、防止の考え方も分かれます。打重ねとして成立させるには時間間隔を守る、時間が空くなら計画的な打継ぎとして処理する、というのが基本です。つまり、最初から打継ぎ位置を決め、レイタンス除去などの処理を行っておけば、構造上の問題は小さくなります。問題になるのは、予定外に、処理もなく時間が空いたときです。
当日の打設で時間が空きそうなときは、早めに元請と生コン工場に連絡し、次の車を遅らせるのか、打設を止めて打継ぎにするのかを判断します。「何とかなるだろう」と続けるのが、最も避けたい対応です。
柴田工業の現場から
鉄骨梁の上のスラブ打ちは、スタッドや配筋が密で、締固めに時間がかかります。そのため、朝のうちに打設順序と生コンの出荷間隔を確認し、夏は特に気を引き締めています。ポンプ車が止まったとき、誰に連絡して、どう判断するかまで決めておくと、慌てずに済みます。