トルクシアボルト管理に関する建設現場イメージ
Torque-Shear Bolt Management

トルクシアボルト管理

Torque-Shear Bolt Management

管理の5本柱
とるくしあぼるともかんり

トルクシアボルト管理の概要

トルクシアボルト管理(とるくしあぼるともかんり)とは、鉄骨接合部に使用されるトルクシアボルトの張力導入を厳密に管理し、設計値通りの緊張力が各ボルトに均等に導入されたことを確認・記録するプロセスです。トルクシアボルトは、ボルト頭に組み込まれた折損溝が所定の張力に達すると自動的に破断する仕組みになっており、その破断の瞬間を正確に捉えることが品質確保の鍵となります。一般的な高張力ボルト(M20、M22など)と異なり、トルクシアボルトは再締めができないという特性があり、初回の施工で確実に所定の張力を導入することが絶対条件です。

施工フロー:本締めから破断確認まで

トルクシアボルトの施工は段階的に進みます。①孔の清浄化:接合面の油脂・塵を徹底的に除去し、滑りを最小化、②仮ボルト段階仮ボルト管理で部材位置を確定、③トルクシアボルト挿入:折損溝が上向きになるよう正しい向きで挿入、④インパクトドライバーまたはトルクレンチで締付:メーカー指定のトルク値に従って締め込み、⑤折損を確認:ボルト頭が脱落し、折損溝の破面が露出したことを目視確認。この最後のステップで折損が確認できて初めて所定の張力が導入されたと判断されます。

施工管理上の重要な留意点

トルクシアボルト管理では、以下の点が特に重要です。まず施工順序で、一般的には接合部の中心から外側に向かい、対称的にボルトを締め付けることで接合部の偏圧を防ぎます。次に破断確認の記録で、各ボルトについて破断日時・作業員名・立会人を記載した施工記録簿を作成し、施工実績の追跡可能性を確保します。さらに不良ボルト時の対応が重要で、折損がスムーズに起こらないボルト(ネジ部損傷などの原因)が見つかった場合は、そのボルトのみ新しいものと交換し、同じ位置で再施工します。最後に二次検査として、超音波検査や目視点検により、実際に破断しているか・張力が導入されているかを確認することが、品質保証の最後の砦となります。

現場での施工課題と対応

実務では様々な課題が生じます。例えば高所作業での破断確認の困難さで、高層建物の上階では折損したボルト頭が地上に落下する危険があり、安全対策と回収方法の事前計画が必須です。また雨天時の孔の清浄化で、接合面に水分が残っていると張力導入が不安定になるため、防水養生と除湿管理が重要になります。さらにトルク値の個体差として、同じロットの製品でも若干のばらつきがあるため、施工前にサンプル品で試験を行い、実際の破断トルク値を把握することが推奨されます。これらの対応方法はトルク管理全般の一環として位置付けられ、設計者・施工者・検査機関が三位一体で進める必要があります。

トルクシアボルトの再締めができない理由と品質への影響

トルクシアボルトが再締め不可である理由は、折損時に生じる「折損溝の破面がせん断面となる」という特性にあります。一度破断すると、その破面は相互に嵌合しておらず、再度ボルトを挿入して締め直しても、初期の張力を復元することができません。そのため、初回施工で確実に所定の張力を導入することが絶対的な要件になります。もし破断が不完全だった場合や張力不足が疑われる場合は、その個所のトルクシアボルトを新しいものと交換し、孔をすべて清浄化した上で再施工することになります。こうした強い制約条件があるからこそ、トルクシアボルト管理はトルク管理実施基準の中で最も厳密な項目として位置付けられているのです。

施工順序
接合部中心から外側へ、対称的に締め付け(偏圧防止)
破断確認
ボルト頭脱落と折損溝破面の露出を目視確認、施工記録簿に記載
不良対応
個別交換と再施工、接合面を完全に清浄化してから実施

柴田工業の現場から

石堂 洋三
石堂 洋三 現場管理・積算・調達

トルクシアボルトは『一度限りの本気』です。再締めができないので、初回で完璧に決めなければなりません。現場では作業員の疲労や焦りで施工品質が低下しやすいため、休憩と交代制、そして毎日のワーカビリティー確認を徹底しています。一つのボルトの不具合が建物全体の信頼性を損なうという心構えが大事です。

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