鉄骨増改築工事管理に関する建設現場イメージ
Steel Structure Addition and Modification Construction Management

鉄骨増改築工事管理

Steel Structure Addition and Modification Construction Management

管理の5本柱
てっこうぞうかいしょくかないこうじかんり

鉄骨増改築工事の特性と課題

既存建物に対する増築(容積を増やす)、改築(部分的に躯体を変更)工事では、新築工事にはない複雑な制約と安全リスクが生じます。既存躯体の強度・精度の把握、既存使用部分との施工区域の共存、仮設支持・仮設補強の必要性などが主たる課題です。鉄骨増改築工事管理は、これらの課題を多面的に分析し、安全で確実な施工を実現する体系的アプローチです。

既存躯体の調査と接合設計

既存建物の増改築では、まず既存構造体の強度・状態を正確に把握することが先決です:

  • 既存図書の確認:建築確認済証、竣工図書から既存躯体の構造形式、鋼材グレード(SS400、SM490等)、設計基準強度を確認。図書が不完全な場合は現場調査で補完
  • 既存躯体の健全性確認:腐食、亀裂、変形の有無を目視検査。必要に応じてコア抜き、超音波探傷等で内部確認
  • 新旧躯体の接合部設計:既存部材と新規部材の応力伝達経路を明確にした接合部設計。既存ボルト孔との位置関係、追加ボルト穴施工の要否を判定。既存部材へのガウジング(切削)、新規溶接が必要な場合は既存部材への熱影響を最小化する施工方法を指定
  • 設計者協議:既存と新規の強度差異、接合部の応力集中を設計図書で明記。施工者単独での判断は禁物

既存床への荷重管理と仮設支持

既存床の上に新規鉄骨部材を一時置きする場合、既存床の支持能力を超えないよう厳格に管理する必要があります:

  • 既存床の耐荷重確認:建築竣工図から既存床の設計活荷重を把握。新規部材の仮置きに際して、単位面積当たりの圧力(kN/m²)が既設設計値を超えないか計算。超える場合は敷鉄板、コンクリート版等で分散
  • 仮設支持体の配置:部材の重心直下に支持点を配置。複数の部材を並べる場合は、各支持点が均等に荷重を負担するよう調整。不等沈下を防ぐ
  • 既存床への損傷防止:床面保護用シート(ウレタンシートなど)を敷設。仮設支持体と床面の接触面積を最大化し、圧力を低減。特に仕上げ面(タイル、塗装等)への傷付け防止
  • 搬出搬入時間の制限:既存使用部分(事務所、賃貸フロア等)がある場合、業務時間外での搬出搬入を設定。営業継続型の工事では作業スケジュールの綿密な調整が必須

既存使用部分との共存施工

営業継続型の増改築では、既存使用部分と新規工事エリアの間の安全・衛生管理が重要です:

  • 施工エリアの隔離:既存使用部分と新規工事区域の間に仮設壁、防塵シートを設営。騒音・粉塵・振動の既存使用者への影響を最小化。安全標識、進入禁止ロープの配置
  • 動線計画:既存利用者の避難経路を確保。エレベーター、階段の共有時間帯を限定し、鉄骨搬入時には利用停止の告知
  • 騒音・振動対策:クレーン回転、鉄骨組み立てクランプ音等が既存利用者に与える影響を予測。軽減措置(防音シート、低騒音工法等)を施工計画に盛り込む
  • 夜間・休日施工:営業時間帯を避けて夜間施工を行うケースも多い。照度確保、騒音制限、作業員の安全確保が条件

既存建物付近での仮設補強

既存建物本体が影響を受けないよう、新規鉄骨工事区域での仮設補強を設計・施工します:

  • 既存躯体への応力伝達防止:新規部材を支える仮設鉄骨ブレース・サポートが既存躯体に直接つながらないよう、アイソレーション層(隔離層)を設ける。または既存躯体との接合を最小限に、設計図で明記された接合点のみに限定
  • 既存部材への削孔:新規接合部材を既存鉄骨に接続する際、既存部材への孔あけが必要な場合、コアドリル等の低振動工法を採用。孔の位置、径、本数は設計図で細かく指定
  • 既存躯体へのガウジング:既存溶接部を取り除いて新規ボルト接合へ変更する場合、ガウジング(角度付き研磨盤での切削)で既存部材の母材に傷が入らないよう慎重に施工。ガウジング後の母材をチェッカーで傷検査
  • 既存躯体の変形・沈下監視:新規工事に伴う応力変化で既存躯体が変形しないか、継続的に精密測量で監視。沈下量が許容値を超えた場合は即座に補強対策を実行

施工計画書・安全計画への反映

増改築工事では、以下を施工計画書に明記し、関係者全員が確認します:

  • 既存躯体の健全性確認結果、設計図との突合わせ記録
  • 新旧躯体接合部の施工順序、検査基準
  • 既存床荷重管理の方法、支持点配置図、許容圧力値
  • 既存使用部分との動線、工事区域隔離方法、騒音振動対策
  • 夜間・休日施工の実施時間、照度・騒音基準
  • 既存躯体変形監視の測定間隔、報告フロー
  • 緊急時の連絡体制、作業停止基準

これらの項目を施工計画書に組み込み、施工管理技士が現場全体を統括します。

既存躯体調査と精密測定

増改築工事の成功は、既存躯体の状態把握にかかっています。特に旧い建物(1970年代以前竣工)では、竣工図書が不完全、経年変化による構造体の変形がある可能性が高いため、現場での詳細調査が必須です。柴田工業では、増改築案件着手前に測量会社と共に3次元レーザースキャン、精密トランシット測量を実施し、既存躯体の幾何学的形状、傾きをミリ単位で把握しています。この情報をもとに設計図面と照合し、乖離がある場合は設計変更を協議します。また、既存部材の鋼種特定も重要で、古い部材は高張力鋼(HT590等)である場合があり、溶接時の予熱・層間温度管理が新規部材とは異なることから、慎重な施工計画が必要です。

既存躯体把握
竣工図書確認、現場調査、精密測量で既存構造の強度・寸法・状態を正確に把握
荷重管理と隔離
既存床の耐荷重確認、仮置き荷重の分散、既存使用部分との施工区域隔離が必須
接合部設計と監視
新旧躯体の接合方法を設計図で明記。既存躯体の変形を継続的に測定し、警告基準を超えたら即対応

柴田工業の現場から

佐藤世人
佐藤世人 工事部

既存建物との複合工事は、新築にはない難しさがあります。既存躯体が予想と異なる場合、施工計画を大きく変更しなければなりません。また、既存利用者への配慮も大きな課題。工事部として、施工設計段階から慎重に計画を立て、現場で柔軟に対応する姿勢が求められます。

柴田工業の施工管理スタッフ募集
RECRUIT

知識ゼロからでも、
街をつくれる人になる。

施工管理・施工図スタッフ募集中。
年間休日約120日・賞与年2回・資格取得全額支援。