鉄骨設計承認に関する建設現場イメージ
Steel Design Approval

鉄骨設計承認

Steel Design Approval

管理の5本柱
てっこうせっけいしょうにん

鉄骨設計承認の役割

鉄骨設計承認(てっこうせっけいしょうにん)は、建築構造の安全性と品質を担保するための重要な確認プロセスです。構造設計者が策定した鉄骨設計図を基に、製作所が詳細な製作図(部材図・ブロック図・組立図)を作成したとき、その製作図が設計図と齟齬がないか、施工上の課題がないか、設計者側で厳密に検査し、製造を認可するという位置づけです。

この承認がなければ、製作所は部材製造に着手できません。承認後に設計と異なる加工が発見されると、鉄骨製作の中断、部材の返却・修正、工期の遅延といった重大な問題が発生するため、承認段階での厳密な確認が必須です。

製作図の検査項目

鉄骨設計承認では、製作図が以下の項目を満たしているか確認されます:

(1)寸法精度:部材長、ボルト穴ピッチ、高さ、幅などが設計図と一致しているか。(2)溶接仕様:溶接施工位置、溶接方法(手溶接・自動溶接)、溶接記号がJIS規格に準拠しているか。(3)ボルト仕様:高力ボルトの径・本数、穿孔径、テーパーワッシャーの使用の有無。(4)被り厚さ:溶接部における最小被り厚さが設計値を満たしているか。

(5)表面処理:錆止め塗装の仕様、メッキ処理の有無。(6)製造者側の工程計画:部材をどのような段階で組み立てるか、どの順序で加工するかが合理的であるか。(7)製作図の完全性:将来の修復・交換時に参照できるよう、全ての寸法・仕様が明記されているか。

承認プロセスの流れ

製作所から設計者に製作図が提出されると、柱・梁設計確認などの部材別検査に加え、全体図面との整合性が確認されます。特に複数の部材が相互に接合される箇所では、個別の製作図では正しくても、組立時に干渉が生じる可能性があるため、全体接合図との照合が重要です。

設計者が確認を終えると、「承認」「条件付き承認」「差し戻し」の判定が行われます。「承認」の場合、製作所は即座に製造に着手できます。「条件付き承認」の場合、指摘された項目の修正を条件に製造開始が許可されます。「差し戻し」の場合、設計図との相違が大きいため、製作図全体の再検討を求められます。

施工段階への情報伝達

承認済みの製作図は、現場監督者や柱・梁組立管理のスタッフに配布され、施工の指針となります。承認過程で指摘された点は、設計者から現場へ明確に伝達される必要があります。例えば、特定のボルト穴の寸法公差が厳しい場合、組立時に実寸計測して確認する必要があることが通知されます。

BIM環境では、承認済みの製作図情報がモデルに反映され、全関係者がリアルタイムで最新情報を参照できます。これにより、設計変更に伴う製作図の修正が迅速に反映され、誤った図面での製造を防ぐことができます。

設計図との相違チェックリスト

効率的な鉄骨設計承認を実施するため、多くの現場で承認用チェックリストが用いられます。部材ごとに、「寸法公差確認」「溶接記号確認」「ボルト配置確認」「干渉チェック」などの項目が組織立てて列挙され、確認者がすべて「OK」と判定してから署名します。このチェックリスト方式により、確認漏れを最小化し、承認の客観性を高めることができます。

製作所との事前協議

製作図が提出される前に、設計者と製作所の担当者が打ち合わせを行い、設計図の解釈、施工上の課題などを事前に共有することで、承認段階での大きな指摘を減らすことができます。特に複雑な接合部、新しい工法を用いる部材については、この事前協議が効果的です。協議内容は議事録として記録され、後の紛争回避に役立ちます。

非適合への対応プロセス

承認審査中に重大な非適合が発見された場合(例:部材厚さが設計値の0.5mmも不足している)、その製作図は「差し戻し」となります。設計者は、その非適合が構造安全性に影響するか、修正で対応可能かを判定し、製作所に対応方針を指示します。修正が困難な場合、当該部材を新規発注するという判断もあり、工期と費用の大きなインパクトが生じます。

設計適合性確認
製作図が設計図と相違ないか、寸法・仕様・品質をすべて確認
承認判定の三段階
承認・条件付き承認・差し戻しの明確な基準で製作所に指示
情報共有
承認結果を現場施工者に速やかに通知し、施工品質を確保

柴田工業の現場から

石堂 洋三
石堂 洋三 現場管理・積算・調達

製作図の承認が遅れると、全体スケジュールが狂います。我々としても、製作所への発注前に設計者との打ち合わせを十分に行い、承認までのプロセスをスムーズにするよう工夫しています。BIMを使うと図面管理が楽になり、承認漏れも減りますね。

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