
鉄骨製作工場の品質管理
Steel Fabrication Factory Quality Management
鉄骨製作工場の品質管理の重要性
鉄骨製作工場の品質管理とは、鉄骨部材の製造全段階において、寸法精度・溶接品質・表面処理の品質を統合的に監視・管理し、設計図書とJIS規格に適合する部材を完成させる体制です。
鋼構造建築物の品質は、現場での組立てだけでなく、製作工場での精度が50%以上を占めます。柴田工業では、提携する認定鉄骨製作工場との協力体制により、進捗確認・中間検査・出荷検査の三段階で品質を確保しています。
製作工場での品質管理フロー
①受入検査(材料受入段階)
工場に到着した鋼材(H形鋼、丸鋼、フラットバー等)について、以下を確認します:
- 材質証明書(ミルシート)とJIS規格の確認
- 寸法:厚さ、幅、長さを抜き打ちで測定
- 表面状態:さび、傷、歪みの有無
- 数量確認:伝票と実物の照合
特に高力ボルト接合部材では、溶接用の鋼材グレード(SS400、SM490等)を厳密に確認し、混同を防ぐ体制が必須です。
②加工・組立段階の検査
CNC切断機でのプロファイル加工後、部材の組立てに進みます。この段階での管理項目は:
- 寸法精度:3次元測定機(CMM)での測定、または簡易測定ゲージでの確認。特にアンカーボルト穴位置、梁せい、柱幅の精度は±2mm以内に制限
- 直角度:フランジと腹板の直角度、ガセット板の直角度をチェック
- 面の平坦性:定規当てで大きな歪みがないことを確認
③溶接工程の管理
製作工場の溶接管理技士が、JIS溶接に適合することを確認します。管理内容は:
特に柱のフランジジョイント、大型メンバーの継ぎ目は、施工管理者が工場での検査に立ち会うことが多く、品質に問題があれば現場に運搬する前に修正を命じます。
④塗装工程の管理
鋼材の防錆塗装は、防錆塗装規格に従い、素地調整→下地塗装→中塗り→上塗りの4工程で進みます。
- 素地調整:ショットブラスト、グリット処理により表面をSa2.5(ISO規格)に仕上げ
- 膜厚管理:各層の膜厚を専用ゲージで測定(下地:30μm、中塗り:50μm、上塗り:60μm等)
- 硬化時間:各層間の指定硬化時間を守る
- 外観検査:色むら、垂れ、はがれがないことを目視確認
⑤出荷前検査
製作完了後、最終チェックリストに基づき全項目を確認:
- 図書との寸法照合(抜き打ち測定)
- 溶接傷把握の記録と修正状況確認
- 塗装の膜厚、色の統一性
- ボルト孔のバリ、ビュア処理状況
- 運搬中の破損を防ぐためのシート掛け、梱包状態
これらすべてが合格した部材のみ、現場への運搬が開始されます。
工場での品質記録と改善
柴田工業では、下請け製作工場と以下の体制で連携します:
施工管理者による工場巡回
月1~2回の工場巡回により、製作進捗を確認し、品質上の課題を早期に発見します。寸法不適合が見つかった場合、加工段階での修正を指示し、現場での対応を最小化します。
品質記録の共有
各部材の施工管理日誌に相当する「製作記録」を工場で作成し、検査成績書とともに現場に送付。現場での受入検査時に内容を確認します。
不適合部材への対応
現場で不適合が見つかった場合、工場に返却して修正するか、現場での特別施工により対応するかを、設計者・施工管理技士で協議します。バリューエンジニアリング的な検討により、工期への影響を最小化する対策を講じます。
3次元測定機(CMM)導入と精度管理の進展
従来、鉄骨の寸法確認はノギスやスケール、直定規による手作業が主体でした。しかし超高層建築や免制震構造が増える中、部材の寸法精度要求が厳しくなり、大規模製作工場では3次元測定機(CMM:Coordinate Measuring Machine)の導入が一般化しています。
CMMは複数の測定点をコンピュータで処理し、寸法・直角度・平行度を一括確認できます。ただしCMM測定には熟練が必要で、測定値のばらつきを防ぐため、操作員の資格教育と定期的なキャリブレーション(装置の精度確認)が欠かせません。
柴田工業の品質管理では、CMM測定結果を3Dデータとして現場に送付。組立施工時に計画値との照合が容易になり、建て起こし時の精度誤差を事前に予測できるようになりました。この情報管理が、高精度な鋼構造建築を実現する基盤となっています。
柴田工業の現場から
製作工場の品質が悪いと、現場での対応に莫大な手間と費用がかかります。工場での検査結果を現場で確認し、不適合があれば早期に対応指示を出す。事務側からの迅速なサポートが現場管理を支えています。