鉄骨建て込み管理図に関する建設現場イメージ
Steel Erection Management Drawing

鉄骨建て込み管理図

Steel Erection Management Drawing

工事の種類
てっこうくみたてかんりず

鉄骨建て込み管理図の役割

鉄骨建て込み管理図(てっこうくみたてかんりず)は、「建て入れ設計」の成果を、視覚的かつ詳細に図示した技術図書です。複雑な鉄骨造建物の施工を、安全かつ効率的に実行するための「施工指令書」とも言えます。

単なる施工図ではなく、各施工段階での構造的安定性、応力経路、仮設支保工の配置、クレーン配置、作業手順などが総合的に表現されており、現場の全員(鉄骨工、足場工、クレーンオペレーター、管理者)が同じ理解で作業を実行するための基本文書となります。

建て込み管理図に含まれる主要要素

1. 部材建て込み順序図
建物全体を何段階かに分割し、各段階で建て込む部材を色分けして示します。通常は、第1段階(基礎から1階まで)、第2段階(1階~2階)というように、階または工事フェーズで分割されます。各段階内では、さらに細かい施工順序が矢印で指示されます。

例えば:
・第1段階:基礎梁→柱脚部→1階柱→1階梁
・第2段階:2階柱→2階梁→階間火打ちなど

2. 施工段階の構造図
各段階完了時点での構造状態を図示し、その段階での「構造的に安定しているか」「荷重がどのように伝わるか」を検証できるようにします。不安定な段階では、必ず仮設支保工による支持を示します。

3. 仮設支保工の配置図
支保工システム」の詳細な配置を示します。:
・支保工の種類(ラックシャー、トラス型など)
・配置位置と数量
・各段階での支保工の取外し予定時期

4. クレーン配置と揚重経路
使用するクレーンの型式、回転半径、吊上げ方法を図示します。特に複数台クレーンを使用する場合は、各クレーンの役割分担を明確にします。

5. 施工工程表との連携
建て込み管理図と「施工計画書」の工程表が一致していることを確認し、予定工期内に完了できることを検証します。

建て込み管理図の作成プロセス

段階1:設計図書の読み込み
建築図、構造図、詳細設計図を精査し、全部材のリスト、接合方法、仮接合・本接合の区別などを把握します。

段階2:構造解析と安定性検証
複雑な建物では、構造計算ソフトを使用して、各施工段階での応力を確認します。特に、柱脚の足がかり、梁の一次受け支保工など、部分的な構造安定性が重要です。

段階3:クレーン配置の検討
敷地条件、既設構造物との関係、部材の重量・形状・寸法などから、使用するクレーンを決定します。複数台配置の場合は、動線が交差しないよう配慮します。詳細は「クレーン操作の安全」を参照してください。

段階4:図面作成と承認
上記を総合して、建て込み管理図を作成します。施工管理技士、構造計算者、発注者(設計事務所)の間で協議・承認を経た後、現場に配布されます。

建て込み管理図の活用

建て込み管理図は、施工開始後も継続的に参照・更新される「生きた文書」です。

日次活動での使用
・朝礼で、その日の施工内容を確認
・クレーンオペレーター、玉かけ技能者が正確な吊上げ方法を確認
・「施工管理技士」が施工段階の構造安定性を確認

施工段階の変更への対応
天候、部材納期遅延、労務事情などで施工順序を変更する場合は、新しい建て込み管理図を作成します。この際も、構造安定性を再検証し、発注者承認を得ることが原則です。

品質記録への添付
建て込み管理図は、完成後の「工程確認書」に添付され、施工実績を記録する重要な文書として保存されます。

建て込み管理図と関連文書

建て込み管理図は、他の施工技術文書と密接に関連しています。

・「施工図」:部材の詳細寸法・接合方法を示す図面
・「施工計画書」:全体的な施工手順・工程・安全計画
・「組立て設計」:部材組み立てのレベルでの詳細設計

これらを統合することで、初めて現場での確実な施工が実現されます。

複雑な建物における建て込み管理図の工夫

高層ビルや複雑な形状の建物では、建て込み管理図の作成に特別な工夫が必要です。

1. 段階的な図面分割
全体図だけでは情報が多すぎて理解困難になるため、複数の詳細図に分割します。例えば、フロア毎に詳細図を作成し、全体図は概略にとどめるなどです。

2. 3次元CADの活用
2次元図面では、立体的な構造関係が理解しづらい場合があります。3次元CADモデルを構築し、各段階の3D画像を図面に組み込むことで、現場職人の理解が飛躍的に向上します。特に、足場職人やクレーンオペレーターには有効です。

3. 支保工の段階的取り外し計画
支保工は、荷重移行が完了するまで取り外せません。各段階で「どの支保工がいつ取り外せるか」を明確にし、支保工の効率的な再利用を実現します。

4. 仮設部材の再利用計画
大型プロジェクトでは、各フロアで同じ支保工部材が上下階で交互に利用されます。建て込み管理図にはこの再利用計画も含め、仮設材料の効率利用を図ります。

定義
建て入れ設計の成果を図示した、施工の安全性と品質を確保する技術図書
主要内容
部材建て込み順序、施工段階の構造図、支保工配置、クレーン配置、施工工程
承認手続き
施工管理技士・構造計算者・発注者(設計事務所)の協議・承認が必須

柴田工業の現場から

石堂 洋三
石堂 洋三 現場管理・積算・調達

建て込み管理図があると、現場の全員が同じ目標に向かって作業できます。朝礼で図面を見ながら説明すれば、安全指示も明確になり、予期しない問題も防げます。

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