
捨コンクリート
Lean Concrete / Blinding Concrete
捨コンクリートの定義と役割
捨コンクリート(すてこんくりーと)は、基礎工事の根切り底に薄く打設する無筋コンクリート層です。公共建築工事標準仕様書では「基礎の墨出しや配筋のため根切り底に薄く打設する無筋コンクリート」と定義されており、最終的には本体コンクリートに埋没し、分離されることなく一体化します。
名称に「捨」と付くのは、構造体としての役割を持たないことに由来します。しかし施工の効率性と精度確保の観点からは、大変重要な役割を果たします。
捨コンクリートの主要機能
墨出しの基準面:根切り面が不揃いな場合、捨コンクリートの上面を水平に仕上げることで、建築の基準高さを確定します。この基準面が正確でないと、建物全体の鉛直度に影響します。
配筋作業の作業面:鉄筋やアンコーボルトを所定の位置に配置する際、清潔で水平な作業面が必要です。捨コンクリートがあることで、作業員の足元の安全性も向上します。
湿度管理:地面からの地下水や毛細管現象により湿度が上昇するのを抑制し、鋼材の腐食や型枠の腐食を防ぎます。特に地下構造物では顕著です。
施工ロスの削減:捨コンクリートなしで根切り地盤に直接型枠を建て込む場合、地盤沈下や崩壊のリスクが高まり、やり直しが発生する可能性があります。
捨コンクリートの施工方法
捨コンクリートは、一般的には厚さ100~150mm、強度18N/mm²程度の無筋コンクリートで施工されます。根切り底面をレベリング(整地)した上に、直接打設します。
打設後、墨出し作業を行い、配筋の位置決めを行います。高層ビルなどの大型物件では、レーザーレベルやトランシット(測量器)を用いた正確な墨出しが実施されます。
鉄骨工事における捨コンクリート
鉄骨造建築の基礎部では、ベースプレートやアンカーボルトが正確に配置される必要があります。捨コンクリートの上面が正確な水平面であることが、鉄骨建て方時の精度に直結するため、重要性は高い工程です。
捨コンクリートが省略される場合と施工品質の低下
工期短縮やコスト削減を理由に、捨コンクリートを省略しようとするケースが、特に中小規模の工事で見られます。しかし実際には、捨コンクリートの省略による短期的な効率化は、配筋や型枠建て込み段階での手戻りが増加し、結果として工期延長やコスト増加につながることが多いです。
地盤の不整形や軟弱部がある場合、捨コンクリートなしで施工を進めると、工事中に沈下や崩壊が発生し、大規模な修正工事を余儀なくされることもあります。公共工事では捨コンクリートが標準仕様として定められているのは、こうした経験に基づいているのです。
石堂洋三現場管理担当は「後工程を見据えた先行工事が、最終的には経済的」と強調しており、捨コンクリートもその典型です。初期段階での投資が、後続工事の品質と工期を確保する仕組みが、建設業の施工管理の基本となっています。
柴田工業の現場から
捨コンクリートは『小さな投資で大きな成果』の典型です。わずかなコスト追加で、配筋精度が劇的に向上し、その後の溶接や建て方作業がスムーズに進みます。見えない工事だからこそ、丁寧に施工する必要があります。