
鉄骨柱のヤニ取り・油分除去
Steel Column Surface Preparation - Resin and Oil Removal
鉄骨柱のヤニ取り・油分除去とは
鉄骨(特に柱部材)は工場製造時に圧延油や加工油が付着し、また運搬・保管中にヤニや汚れが付着します。溶接施工や摩擦接合を行う前に、これらの付着物を確実に除去することが品質確保の要件です。
この工程は鉄骨組立て前の準備確認において最初の段階として実施されます。油分やヤニが残存すると、溶接時のスパッタ発生増加やポロシティ(気孔)の原因となり、溶接欠陥の定着につながるため極めて重要です。
実施方法と使用機器
ヤニ・油分除去の方法は、部材の汚染程度や工程段階により使い分けられます。
ワイヤーブラッシ・スチールウール研磨による機械的除去が標準的です。手持ち式グラインダーにカップブラシを装着し、溶接予定部位を丁寧に研磨します。特に柱接合部の柱-ベースプレート接合面は念入りに行う必要があります。
汚染が著しい場合は、揮発性脱脂剤(アルコール系溶剤など)で拭き取る方法も併用されます。ただし環境・安全面から溶剤使用量は制限される傾向にあります。
品質管理のポイント
除去完了後は目視検査により、油分やヤニが完全に除去されたことを確認します。検査対象は溶接対象面全体、特に開先底部と側面の隅々です。
除去作業から溶接実施までの時間差が長くなると、再び油分が付着する可能性があるため、作業スケジュール管理も重要です。通常は除去完了から4時間以内に溶接を開始することが指針とされています。
工場製造時の油脂がもたらす問題
鋼材は圧延工程で圧延油を使用し、また冷却・成形時に防錆油が塗布されます。これらは一定の防錆効果を持つ一方、溶接時には重大な課題となります。油分が高温に加熱されると分解し、ガスとなって溶接部に混入します。その結果、気孔(ポロシティ)やブローホール等の内部欠陥が発生しやすくなり、接合部の強度低下につながります。
特に摩擦接合(高力ボルト接合)を予定する場合、被合面の油分は接合面の滑り係数を大きく変動させるため、必須の前処理です。JIS規格でも接合面の清浄度に関する基準が設定されています。
柴田工業の現場から
現場ではこの工程を軽視しがちですが、後の溶接品質に直結します。特に梅雨時期は湿度が高く再汚染しやすいので注意が必要です。作業スケジュール管理を厳しくすることが大切ですね。