
セルフレベリング材
Self-leveling Material
セルフレベリング材とは
セルフレベリング材(SL材)は、流動性が高く、床に流し込むと自重で広がって水平で平滑な面をつくる材料です。略して「SL材」と呼ばれ、フローリングや長尺シート、タイル、カーペットなどの仕上げ前の床下地調整に使われます。不陸の調整に役立ち、人力で左官仕上げするよりも平滑性を得やすいのが特長です。
主な種類として、セメント系とせっこう系があります。セメント系は耐水性に優れ、水掛かりのある場所にも使えます。せっこう系は硬化後の収縮が少なく平滑性が高い一方、水に弱いため、水回りや湿気の多い場所では使用できません。材料ごとに適用範囲が異なるため、仕様書の確認が欠かせません。
施工の流れと下地処理
施工は、下地の清掃、下地処理、プライマー塗布、流し込み、養生の順に進みます。
- 下地清掃:ほこり、油、レイタンスなどを除去する。
- 下地処理:ひび割れや穴を補修し、ゆるみ部分を除去する。
- プライマー塗布:下地と材料の付着を高め、下地の水分吸収を抑える。
- 流し込み:所定の水量で練り混ぜ、流し込んで均す。
- 養生:硬化中は風や直射日光を避け、乾燥後に仕上げ工事へ進む。
下地がコンクリートの場合はコンクリート仕上げの状態が影響します。コンクリート養生が不十分で乾燥していない状態で施工すると、膨れや剥離の原因となります。
施工上の注意点
流動性が高いため、壁際、配管貫通部、開口部、ドアの下端などから材料が漏れないよう、堰き止め(止め枠・シール)を事前に確実に行います。水量は材料メーカーが定める範囲を守ります。水が多すぎると、材料分離や強度低下を招きます。
厚みは、メーカーが定める適用範囲(例:数mm〜数十mm程度)内で施工します。厚い場合は複数回に分けるなど、仕様に従います。また、冬季の低温時や夏季の高温時は硬化や流動性に影響するため、環境条件の管理が重要です。
鉄骨造の床ではデッキプレート上のレディーミクストコンクリート打設後に、仕上げ下地として用いられることがあります。コンクリートの仕上がり精度が悪いと、厚みが過大になり、コストと工期に影響するため、躯体段階での精度確保が大切です。品質管理の観点では、施工後の平坦度の確認が必要です。
平坦度の確認と不具合の防止
セルフレベリング材は「自然に水平になる」とはいえ、完全に理想の平面ができるわけではありません。流し込みの際に止め枠の高さで基準を設定し、必要に応じてレーザーレベルや水準器を用いて仕上り高さを確認します。
代表的な不具合には、表面のひび割れ、膨れ、粉が出る「ダスティング」、段差やムラなどがあります。原因としては、水量過多、下地の吸水が大きくプライマーが不足していた、下地が汚れていた、施工中や硬化中の急激な乾燥、継ぎ目で打ち継ぎ時間が空いたなどが考えられます。
そのため、1回の打設は区画を決めて連続で行い、途中で中断しないように人員・材料・ポンプなどの段取りを整えます。硬化後に仕上げ材を施工する前には、水分量(含水率)の確認も行います。仕上げ材の種類によっては、乾燥状態の確認基準が定められています。
また、荷重を伴う後続作業(重い資材の搬入や台車走行)は、硬化の程度を確認してから行います。
柴田工業の現場から
SL材は材料自体より、下地の掃除と漏れ止めの手間が品質を決めます。段取りを決めて一気に流せる体制をつくることが大切です。