
共同企業体
Joint Venture (Construction JV)
共同企業体(JV)とは
共同企業体(ジョイントベンチャー、JV)とは、複数の建設業者が共同して一つの工事を受注・施工するために結成する組織です。建設業法上の許可を受ける独立した事業者ではなく、各構成員が個別に建設業許可を持ったうえで、協定を結んで共同事業を行います。法的な性格は、民法上の組合に準ずるものと考えるのが一般的です。
大規模で技術的な難度が高い工事や、地域の工事を中小業者が確実に担うための枠組みとして、公共工事を中心に活用されています。
JVの主な種類
公共工事でのJVは、目的によって主に次の三つに分けられます。
- 特定建設工事共同企業体(特定JV):大規模かつ技術的難度の高い工事に際し、技術力を結集して施工能力を高めるために、工事ごとに結成し、工事の完成で解散する。
- 経常建設共同企業体(経常JV):中小・中堅の建設業者が継続的な協業関係を確保し、経営力や施工力を強化するために結成する。発注機関の競争参加資格の登録を受けて活動する。
- 地域維持型建設共同企業体:災害応急対策、除雪、修繕など、地域の維持管理に必要な事業を、継続的に担う目的で結成する。
JVの結成の方式には、各構成員が出資比率に応じて資金・人員・機械などを出し合い、一体で施工する「共同施工方式」と、工事を分割して各構成員が分担する「分担施工方式」があります。現在の公共工事では共同施工方式が基本です。
JVの組織と運営
JVは、構成員が締結する協定書で運営の基本を定めます。主な事項は次のとおりです。
- 代表者(代表構成員)の決定
- 各構成員の出資比率
- 運営委員会の設置と権限
- 損益や費用の分担
- 工事の瑕疵(かし)への対応、構成員が脱退した場合の取扱い
発注者との契約や対外的な窓口は代表者が担います。ただし、工事の履行については、構成員が連帯して責任を負う仕組みとなっているのが通例です。一社が倒産などで履行できなくなった場合も、残る構成員が工事を完成させる責任を負うことになります。
現場の管理では、JVとして現場代理人や監理技術者などを配置し、施工管理、工程管理、安全管理を一体で行います。構成員ごとに社内の様式や基準が異なるため、運営委員会で管理様式や報告ルールを事前に統一しておくことが大切です。
下請・協力会社から見たJV
JVの工事では、発注者が構成員の施工能力を総合的に評価して受注した現場に、協力会社として入ることになります。鉄骨工事や仮設鍛冶工事の担当者は、見積の窓口、図面や指示の出し方、安全ルールがどの構成員の方針に従うのかを、着工前に確認しておくとよいです。ゼネコン同士のJVでは、書類様式や承認の流れが複数社分存在することもあるため、窓口の一本化を依頼することがトラブル防止になります。
JV結成と経営事項審査・入札参加資格
JVが公共工事の入札に参加するときは、発注機関が定める資格要件を満たす必要があります。要件では、構成員の等級や経営事項審査の結果、同種工事の実績、技術者の配置などが確認されます。そのため、JVを組む側は、相手の経営状況や施工能力を事前によく調べておくことが重要です。
また、協定を結ぶ際には、出資比率だけでなく、瑕疵対応や追加費用が出たときの負担、構成員が脱退・破綻したときの扱いを具体的に決めておくべきです。JVはお互いの強みを生かして単独では難しい工事に挑める反面、意思決定の遅れや責任の所在のあいまいさがリスクになります。運営委員会での議事録の整備や、代表者が行う判断の範囲を定めておくなど、組織運営の仕組みづくりがJVの成否を分けます。
柴田工業の現場から
JVの現場では、見積の提出先や承認の流れが元請さんの間で違うことがあります。着工前に窓口と手続きを確認して、調達や積算の前提をそろえておくのが肝心です。窓口が一本化されていると、現場はぐっと動きやすくなります。