
躯体
Building Frame / Structural Body
躯体とは
躯体(くたい)とは、建物の構造を成り立たせている骨組み部分の総称です。基礎、柱、梁、床、壁、屋根など、荷重を支え建物の形を保つ部分が該当します。仕上げ材や設備を取り除いても残る「建物の本体」と考えるとわかりやすいでしょう。
建築基準法施行令第1条第三号には「構造耐力上主要な部分」が定められています。基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材(梁、桁など)がこれにあたり、躯体の中心をなす部分といえます。
構造の種類によって躯体を構成する材料は異なります。鉄筋コンクリート造ではコンクリートと鉄筋、鉄骨鉄筋コンクリート造では鉄骨・鉄筋・コンクリート、鉄骨造では鉄骨本体が躯体です。鉄骨造の現場でも、床のデッキプレートとスラブコンクリートまでを含めて躯体と呼ぶことが一般的です。
躯体工事と仕上げ工事の違い
建築工事は大きく、躯体工事、仕上げ工事、設備工事に分けられます。躯体工事は基礎・地業から始まり、鉄骨工事、鉄筋工事、型枠工事、コンクリート工事などで建物の骨組みをつくる工程です。その後に、内外装の仕上げ下地工事や金属パネル工事などの仕上げ工事が続きます。
躯体の出来は、後工程のすべてに影響します。柱や梁の位置がずれていれば仕上げの納まりが成り立たず、床の水平精度が悪ければ仕上げ材の厚さで調整することになります。そのため現場では、墨出しや施工図に基づいた躯体の寸法・精度管理が重視されます。また躯体にはスリーブ(貫通孔)やインサート、アンカーなどが埋め込まれるため、設備や仕上げとの取合いを早い段階で調整しておく必要があります。
仮設鍛冶工事と躯体
仮設鍛冶工事では、足場の壁つなぎ、仮設ブラケット、手すり先行工法の支柱、荷揚げ設備の取付けなど、躯体を利用して仮設物を設置する場面が数多くあります。このときに守るべき基本は次のとおりです。
- 躯体への穴あけ、溶接、後施工アンカーの打設は、構造に影響し得るため、事前に元請の躯体担当や設計者の確認を得る
- 後施工アンカーは、既設の鉄筋や埋設物と干渉しない位置を選び、必要に応じて探査を行う
- 仮設物の撤去後は、アンカー孔などの補修範囲と方法をあらかじめ取り決めておく
躯体は建物の耐力を担う部分であり、一度傷つけると完全には元に戻らないことがあります。仮設の都合を優先せず、慎重に扱う姿勢が求められます。
躯体の品質確認と「見えなくなる」前の検査
躯体は、仕上げが施されると見えなくなる部分が多いのが特徴です。鉄筋の配置、かぶり厚さ、鉄骨の溶接部やボルト接合部などは、コンクリート打設や耐火被覆、仕上げの前に確認しておかなければ、後から確認や是正をすることが困難です。
そのため現場では、工程ごとに検査の節目を設けます。たとえば配筋検査ではかぶり厚さの計測を行い、鉄骨ではUT検査や高力ボルトの締付け確認を行います。結果は写真や検査記録として残し、品質管理の根拠とします。
躯体の精度や品質に疑義が生じたときは、記録が残っているかどうかで対応の速さが大きく変わります。「見えなくなる前に確認し、記録を残す」ことが、躯体工事の基本姿勢です。
柴田工業の現場から
仮設の金物を躯体に付けるとき、「ここなら大丈夫だろう」と自己判断しないよう、現場では必ず確認をとるようにしています。躯体は建物の命なので、ひと声かける手間が後々の安心につながります。