
ケイ酸質系塗布防水
Silicate-Based Penetrating Waterproofing
ケイ酸質系塗布防水とは
ケイ酸質系塗布防水とは、ケイ酸塩を主成分とする材料をコンクリートやモルタルの表面に塗布し、水分とともに内部へ浸透させ、結晶などを生成して空隙を埋めることで、水の浸入を抑える工法です。ケイ酸質系は「浸透性」「結晶系」とも呼ばれる材料群に含まれ、コンクリート防水の一種として扱われます。
特徴
シートや塗膜で表面を覆うアスファルト防水などと異なり、躯体自体を緻密にする考え方です。無機質であるため紫外線による劣化の心配が少なく、コンクリートと一体化する点が利点とされます。一方で、ひび割れに追従して伸びる性能は塗膜防水ほど期待できません。大きな動きのあるひび割れには、別途の補修やシーリング、施工目地防水などとの併用を検討します。適用範囲は製品ごとに異なるため、メーカーの仕様を確認します。
施工の要点
効果は下地の状態に大きく左右されます。まず、レイタンスや油分、塗膜などを除去し、必要に応じて高圧水洗浄やワイヤブラシで下地処理を行います。次に、ひび割れや豆板、打継ぎ部、貫通部まわりを補修し、十分に水を含ませて湿潤状態にしてから材料を塗布します。乾燥した下地では浸透や反応が不十分になりやすいためです。塗布後は、乾燥を避けるための散水等の養生を行います。
品質管理では、塗布量・回数、下地の含水状態、気温、養生期間を記録します。施工後には、必要に応じて水張り試験などで効果を確認します。地下ピットや水槽、エレベーターピット、基礎まわりなどでは、鉄骨柱脚のアンカーボルトや貫通配管が防水の弱点になりやすいため、納まりの検討が重要です。
改修工事では、既存のコンクリートに後から適用できる点が利点ですが、劣化や漏水の原因が目地やひび割れにある場合、塗布だけで止水できないことがあります。原因調査を行い、品質管理の観点から工法を選定することが大切です。
他の防水工法との使い分け
防水工法は、表面を覆う被膜型と、躯体に浸透して改質する浸透型に大別できます。ケイ酸質系塗布防水は後者に属し、露出で歩行や紫外線にさらされる屋上より、地下や水槽など、水圧がかかる構造部での採用例が多い工法です。ただし、地下外壁では、地下水位や漏水の状況によって、外防水・内防水の選択や追加の止水処理が必要になります。
単独で完璧な防水を求めるのではなく、コンクリートの水セメント比を抑えた密実な打設、適切なひび割れ制御、目地処理と組み合わせて、全体として止水性能を確保する考え方が基本です。
柴田工業の現場から
塗るだけと思われがちですが、下地の湿らせ方や養生の記録が大事だと現場で教わりました。