
仮ボルト設置検査
Temporary Bolt Installation Inspection
仮ボルト設置検査の役割
鉄骨の建方(立入)時、複数の部材を仮に固定するために打ち込まれる仮ボルトの設置位置、本数、締付け状態などを検査するプロセスです。本格的な高力ボルト緊結作業に先立ち、部材の相対位置が設計図通りに確保されていることを確認します。
検査項目と実施方法
仮ボルト設置検査は以下の項目で構成されます:
- 設置位置の確認:孔位置が設計図と合致しているか。杭打ちズレやボルト穴の欠損がないか
- 本数確認:各接合部に規定本数の仮ボルトが設置されているか
- 締付け状況:各ボルトが手締め以上の力で仮止めされており、緩みがないか
- 孔明け精度:孔径が規格内で、バリやバリ取り忘れがないか
- 部材の相対位置:使用工具(スコヤやレーザーレベル)で水平・垂直が確保されているか
- 仮止め孔と本ボルト孔の照合:後工程の高力ボルト孔位置が確実に穿孔されるよう準備状況を確認
検査担当は施工管理技士または現場監理者で、検査記録は工事台帳に記載されます。
設計図との照合と精度管理
仮ボルトの配置図は、施工図(施工図)に明記されます。検査時には、平面図・断面図における孔位置、さらに鉛直方向の精度も含めて確認が必須です。特に複雑な接合部では、複数の方向から孔位置を目視確認し、必要に応じて測定器で検証します。
不適合への対応
仮ボルト孔位置の誤りが判明した場合、即座に是正が必要です。孔位置のズレが許容範囲(通常±5mm程度)内であれば、オーバーサイズボルトの使用やシム材の挿入で対応できます。許容範囲を超える場合は、孔の再穿孔(ドリルで拡大穿孔する等)や部材の部分交換を検討します。
仮ボルトと本ボルトの使い分けの実務ポイント
建方現場では、仮ボルトはM16~M20程度の一般的な構造用ボルトが用いられ、後に高力ボルト(通常M20以上、強度等級10.9など)に置換されます。仮ボルトは「仮止め」が目的であり、計算上の支持力を期待しないため、締付けトルク仕様は簡易的です。
検査時の重要な着眼点は、仮ボルトが設置された接合面の状態です。鋼材表面の汚れ、さび、スケールがあると、スリップが発生しやすくなり、仮固定が不十分となります。設置前に表面清掃を実施し、検査では清掃状況の確認も行います。
また、高層建物や風の影響を受けやすい現場では、仮ボルトだけでは不十分な場合があり、追加の仮支保材(例:クサビや仮ブレース)と併用されることもあります。検査では、こうした総合的な仮固定システムの有効性を判断する技術力が求められます。
柴田工業の現場から
仮ボルト検査は単なる形式的な作業ではなく、その後の本ボルト取付精度を左右する重要な工程です。孔位置の誤りを検査段階で発見できれば、補正措置を早期に計画でき、工期遅延を防げます。調達側としても、仮ボルトの品質(特に規格外品がないか)を事前確認することが大切ですね。