ガス圧接継手に関する建設現場イメージ
Gas Pressure Welded Splice

ガス圧接継手

Gas Pressure Welded Splice

工事の種類
がすあつせつつぎて

ガス圧接継手の概要

ガス圧接継手(がすあつせつつぎて)は、鉄筋の端部をガス火炎で加熱し、加圧しながら塑性変形させることで一体化する継手工法です。太径鉄筋(D32以上)の主筋接合に広く採用されており、JIS溶接と並ぶ高強度継手として、構造設計上も満足度が高い特性を持ちます。

ガス圧接継手は、鉄筋端面どうしが密着し、加熱によるメタルフローで母材と継手部が一体化するため、引張強度が母材と同等以上となります。大型建築の柱主筋や杭の鉄筋接合など、高い信頼性が求められる部位で多用されます。

ガス圧接のプロセス

ガス圧接の工程は、(1)鉄筋端面の準備、(2)加熱、(3)圧接、(4)冷却に分かれます。

端面準備では、鉄筋端部を平面研磨機で正確に研磨し、酸化スケールを除去します。端面の平行度は±1mm以内に管理され、端面が斜めになると圧接時の不良(偏芯)が生じるため注意が必要です。

加熱は、酸素・アセチレンまたはプロパンガスの火炎を用いて、鉄筋端面を加熱し、約1200℃の塑性状態にします。加熱不足では圧接強度が低下し、加熱過剰では鋼材組織が劣化するため、温度管理が重要です。

圧接は、加熱完了後、油圧プレス機で急速に加圧し、鉄筋端面を押し潰すことで、メタルフロー領域を形成します。加圧力と加圧時間は鉄筋径に応じて決定され、JIS Z 3071「ガス圧接」により基準が定められています。

品質管理と検査

ガス圧接継手の品質確認には、外観目視検査、曲げ試験、抜き出し試験が主に実施されます。外観検査では、バリ(かえり)の高さ、幅、表面割れの有無などを確認します。

抜き出し試験は、圧接完了後の鉄筋を、数日置いてから実施される引張試験で、引張強度が母材の95%以上であることを確認します。大規模工事では、全数検査または抜き取り検査(通常1~2%)が施工仕様書で定められています。

機械式継手と異なり、ガス圧接は継手部の突起が小さく、鉄筋配置が効率的です。一方、作業環境(風、湿度、気温)の影響を受けやすく、熟練工の技量が品質を大きく左右する特性があります。

施工上の留意点

ガス圧接の作業場所は、現場内で天候に左右されにくい位置に仮設の圧接小屋を設ける場合があります。風の影響でガス火炎が乱れると、加熱が不均一になり、圧接不良が増加するため、防風対策が重要です。

また、ガス圧接から型枠組立まで、一定の硬化期間を設ける必要があります。通常、圧接から24時間以上経過してから型枠に組み込むことが推奨されており、工程管理上の配慮が必要です。

ガス圧接継手の組織と強度特性

ガス圧接部の冶金的性質は、加熱による熱影響部(HAZ)と、メタルフロー領域により特性が決まります。メタルフロー領域では、母材が塑性変形と再結晶により、微細粒組織となり、高い強度と靱性を発揮します。

一方、熱影響部では、母材の粗粒化によって靱性が低下する傾向があります。特に高炭素鋼やリブ付き鉄筋では、焼き入れ硬化によるひび割れのリスクがあるため、圧接後の冷却速度管理(急冷回避)が重要です。

引張試験結果は、通常、母材強度の100~110%に達し、その高い強度は圧接部の密実性とメタルフロー領域の優れた組織による効果です。これは機械式継手の95~105%程度の強度率より優位性を持ちます。

適用鉄筋
D32以上の太径主筋、杭鉄筋接合
継手強度
母材の95%以上(目標100%以上)
品質検査
外観検査、曲げ試験、抜き出し引張試験(全数またはサンプル)

柴田工業の現場から

上沢直二
上沢直二 事務・現場兼務

ガス圧接は熟練工による手作業部分が多く、技能講習修了者や作業主任者の配置が必須です。天候に左右されやすいため、工程計画では余裕を見込み、検査記録も厳密に管理します。大型プロジェクトでは圧接実績表を作成し、検査成績を可視化することが重要です。

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