仮設構造設計に関する建設現場イメージ
Temporary Structure Design

仮設構造設計

Temporary Structure Design

管理の5本柱
かりせつこうぞうせっけい

仮設構造設計とは

仮設構造設計は、鉄骨建方工事や型枠工事などで使用される仮設材・仮設構造物の強度・安定性を計算・検証する設計業務です。本体工事の設計(本設計)と異なり、仮設構造は工事の進行に応じて取り外される一時的な構造であるため、施工期間中の荷重条件、施工方法の変更、予期しない外力(風、地震、衝撃など)への対応が求められます。

仮設構造設計は、単に強度計算をするだけではなく、施工方法、工期、予算、安全性を総合的に考慮して、最適な仮設計画を実現する設計です。特に高層建築や複雑な架構では、仮設設計の良し悪しが、工事の安全性、工期、コストに大きく影響します。

仮設構造設計の主要対象

仮設構造設計の主要な対象は以下の通りです:

  • 鉄骨建方時の支保工:建方中の梁や床スラブを支持する仮設構造。建方中の格子架構の不安定性を補う
  • 水平支保工(横揺れ防止):建方中の鉄骨架構が風や施工荷重により揺れるのを防ぐ仮設材。躯体仮設工事の重要な要素
  • 型枠支保工:コンクリート打設時に、コンクリートの自重と施工荷重を支える支保工。特に厚板コンクリートでは支保工の容量が建設工事の制約要因になることもある
  • 山留め支保工山留め壁の横変位を防ぐ水平支保材の設計
  • 仮設足場足場の安全性を検証する設計

設計における荷重と安全係数

仮設構造設計では、本設計よりも厳格な安全評価が必要です。理由として、仮設材の使用状況が多様であり、施工者の管理レベルが変動するため、安全裕度を大きく取る必要があるからです。

一般的な設計では:

  • 建方時の荷重:各階で施工中の鉄骨自重+施工機械(クレーン、台車など)の荷重+安全率(通常2.0以上)
  • 風荷重:建方中は本体外壁がないため、風の影響が大きい。地域の基準風速に対して十分な検証を実施
  • 地震荷重:建方中は本体の剛性が不足しているため、地震時の応答倍率が大きくなる。長周期の揺れに対する配慮が必要
  • 不測の衝撃荷重:運搬中の転倒、つり荷の落下などに対する余裕度を設定

仮設設計書の構成と管理

仮設構造設計は、通常「仮設構造計画書」「仮設構造設計書」として2つの文書でまとめられます。

仮設構造計画書には、採用する仮設方式、施工方法、安全対策の方針などが記載され、施工開始前に施工主・監理者・施工者の三者で承認されます。

仮設構造設計書には、各部材の応力計算、使用材料の仕様、組立図、施工順序などが詳細に記載されます。これらの設計書は、施工管理技士や構造設計者により検証を受けたうえで、現場に配布されます。

施工中に荷重条件や施工順序が当初計画から変わった場合は、設計の見直し(アスビルト)が必要となり、その都度承認プロセスを経ることが重要です。

FEMによる仮設構造解析

複雑な建方シーケンスや、隣接地の制約により特殊な支保工が必要な場合、有限要素法(FEM)による応力解析が実施されます。FEM解析では、各建方ステップごとに架構の剛性、応力分布を算出し、部材の応力状態を詳細に把握できます。

特に、高層建築の建方中盤における「架構の弱軸方向の安定性」の評価には、FEM解析が有効です。静的な風圧計算では捉えきれない、渦励振や動的応答を考慮した検証が可能になり、より合理的な仮設設計が実現できます。ただし、FEM解析には高度な技術と時間が必要であり、コスト増加にもつながるため、計画段階での判断が重要です。

設計対象
建方支保工、水平支保工、型枠支保工、山留め支保工など多岐にわたる
安全評価の厳格性
本設計より大きな安全係数(2.0以上)を適用する傾向が強い
管理プロセス
計画書、設計書の作成・承認、施工中のアスビルト対応が必須

柴田工業の現場から

上沢直二
上沢直二 事務・現場兼務

仮設設計は現場の施工状況と密接に関連しています。設計段階での想定と実際の施工が異なる場合も多く、その都度設計者との調整が必要です。現場の実情を設計者に正確に伝えることで、より合理的で安全な仮設構造が実現できます。

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