
ブレーカー
Breaker (Hydraulic Breaker / Hand Breaker)
ブレーカーとは
建設現場でブレーカー(breaker)と言うと、コンクリートやアスファルト、岩などを打撃で砕く破砕用の機械・工具を指すのが一般的です。先端のチゼル(のみ状の工具)を高速で繰り返し打ち付けて対象物を割るもので、構造物の解体、既存躯体のはつり、舗装の撤去などに使います。
大きく分けると次の二種類があります。
- 油圧ブレーカー:油圧ショベルなどのアームの先端に取り付けて使う大型のもの。基礎、スラブ、擁壁などの大きな構造物の破砕に使う
- ハンドブレーカー:作業員が手で持って使う電動式や空圧式のもの。空圧式にはコンプレッサーが必要。小規模なはつりや、狭い場所の斫り(はつり)に使う
なお、現場で「ブレーカーが落ちた」と言うときのブレーカーは、電気の配線用遮断器のことで、まったく別の機器です。仮設電気の分電盤に取り付けられた遮断器は、過電流から配線や機器を守るもので、仮設電力管理の中で扱われます。文脈で見分けられるようにしましょう。
鉄骨・仮設工事での使われ方
鉄骨や仮設鍛冶の工事では、ブレーカーそのものを使う場面は限られますが、次のような作業で関わることがあります。
ただし、既存躯体を斫る作業は構造耐力に影響することがあります。鉄筋を傷めたり、必要以上に欠き取ったりしないよう、事前に元請・設計者の承認を得て、範囲を決めてから作業します。勝手に判断して斫るのは禁物です。
騒音・振動・粉じん・安全対策
ブレーカー作業は、騒音、振動、粉じんの三つが大きな問題になります。法令・規制として、次のようなものがあります。
- 騒音規制法:指定地域内で、削岩機を使用する作業などは「特定建設作業」とされ、市町村への事前届出(作業開始の7日前まで)と、敷地境界での騒音の基準(85デシベル)が定められている。作業時間帯や期間の制限もある
- 振動規制法:手持式を除くブレーカーを使用する作業が特定建設作業にあたり、同様に事前届出と基準(敷地境界で75デシベル)が適用される
- 粉じん障害防止規則:コンクリートの斫りなど粉じんが発生する作業では、呼吸用保護具の着用や散水などの対策が求められる
- 振動障害の予防:ハンドブレーカーなどの手持ち振動工具は、長時間使用で白ろう病などの振動障害の原因となるため、作業時間の管理や休憩、健康診断が重要
現場では、防音シート、散水、低騒音・低振動型の機械の採用、作業時間の調整といった対策を組み合わせます。作業者は保護帽に加え、保護メガネ、防じんマスク、耳栓や防音保護具を着用します。破片の飛散範囲は立入禁止にし、KY活動で飛来落下や下階への影響も確認してから作業に入りましょう。
特定建設作業の届出と近隣対応
騒音規制法・振動規制法の対象となる特定建設作業は、指定地域内で行う場合に市町村長への実施の届出が必要で、届出義務は工事を請け負った元請が負うのが一般的です。ただし、下請の側も、自社の作業が対象になるかどうかを把握しておくことが大切です。作業期間や作業時間の制限、日曜・休日の作業禁止などの条件が付く場合があります。
騒音・振動に関する苦情は、工事全体の信頼に影響します。着工前の近隣説明、作業予定のお知らせ、苦情が出たときの窓口の明確化など、元請と連携して対応する体制を整えておきましょう。基準値はあくまで規制上の最低限で、実際には周辺環境に応じてさらなる配慮が求められます。
また、既存建物のはつり作業では、アスベストなどの有害物質が含まれていないかの事前調査が法令で義務付けられています。調査結果を確認しないまま斫ることは絶対に避けてください。仮設工事リスク評価に、騒音・粉じん・既存材料の確認を含めておくと抜けがありません。
柴田工業の現場から
後施工アンカーのために少し斫るだけでも、鉄筋を切らないか、粉じんや騒音が周りに迷惑をかけないかを確認します。手持ちのブレーカーは振動もきついので、交代しながら作業するようにしています。